バタリア 2回目

レールを渡りきった、その更に先。やはり回転砲台前に懐かしの尻が居た。

「あ、でかケツ」
「おんやまぁ!ノバリスで会ったボウズにロボットに、ブサイクのねーちゃんやないかぁ」
「ブ…!?」
「ぶふーっ!」

思わず目を見開いた。感動までは行かないにしろ、再会した相手に面と向かってこれはないだろう。

ショックのせいで、ラチェットへの突っ込みがワンテンポ遅れてしまった。

「何吹き出してんの!」
「無事だったんかいなぁ、元気しとったか~?」

しかも撤回してくれる様子は一ミリもうかがえない。彼からしたら、私は本当に醜い生き物として見えているようだ。

「途端に嫌われ始めたッスね」

彼に限ったことではない。クォークのバンを見張っていた大男や、つい先程会ってきた隊長にもこの顔は何故か不評だった。

「でも、ショップの店員にはモテてるもん!あとは…」
「あとは~?」

ニヤニヤすんなラチェット。

「スキッドの種族とか…」
「それと~?」
「そ、それと…」

もう居ない。

「スキッド?」

会話を聞いていた中年男は有名人の名前に何か引っかかったのか、醜い生き物に顔をぐっと近付けジロジロと見てきた。

「んん~?」
「な、何すか…?」

そして割と重要なことを思い出した。

「こんりゃあたまげた!!お前さんのことだったんかいな!」
「はい?」
「さっきの取り消すからなぁ。ありゃ嘘。えらいべっぴんさんだかんな!自信持てよ~?」
「は、はぁ」

意味不明な手の平返し。特に頼みごとがあって持ち上げてくれている訳でもなさそうだし、裏があるとしても人間一人を褒めちぎって一体何になるというのだ。

「ラチェットは、どう思ってるッスか?」

このロボットは、本当に余計なことを口にする。

「な、なんでそんなこと聞くんだよ!?」
「参考までに」
「はぁーっ?」
「……」

でもちょっと聞いてみたい。リーダーさんの、人間に対する意識。私に対する意識。

「えーっと、その…ああ!さっきオイラ吹き出しただろ?そういうこと!」
「それだけではまだ判断できないッス。我慢できず笑ってしまったのは、単にラチェットがお子様だったからッス」
「お、お子様…!」

今度はラチェットが目を見開いた。

「吹き出してあげよっか?」
「要らないよ!」
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