ガスパー

その後、ブラーグの施設に侵入したは良いが、両脇に小型戦車が並ぶ狭い通路で足止めを食らっていた。よく使えるロケットバズーカ等の弾はもう無い。

「ちょっとキツいかも…」
「バクダンを戦車の向こう側に投げればいけるんじゃね?」
「まだ弾が手元に残っていればの話ッス」

戦車の隙間に乗り込んで行って一人一人片付けていく近接戦法をとりたいが、敵同士の素晴らしい連携がなかなか許してくれない。ゲームにはこんなの無かった。

「はぁ、どうするかな…」

しびれを切らし、無謀にもレンチ片手に飛び出そうとするラチェットのしっぽを掴んで引き戻す。

「突っ込んで行きゃあなんとかなるって!空飛ぶブラーグに比べりゃ楽勝さ」
「もうちょっと頭良く進んで行こうとは思わないの!?」

せめてパンチングラブを装備するとか。

「別に。気にすること?おねーさんはともかく、オイラはその携帯で簡単に回復できるんだし!」
「でも怪我が痛いことには変わりないんでしょ?ラチェットは良くても、見てるこっちが嫌なの」
「えっ……あー、そ、そう…」

心配されていることに面食らったのか、急におとなしくなった。

「……じゃー、お手本見せてよ」
「全く。なら、ジラインとシャベルスピーク貸し……ジラインだけで良い。ニヤケんな。スピーク構えて待ってて」
「バルルンは?アクマンも使わないの?」
「いいの、どっちも残りの弾が少ないから。他のガラメカに出番あげましょ」

こちらが攻めずにいたため、敵の銃撃は止んでいた。その隙に、通路の中心にジラインの弾を数個放る。

「よし、やっちゃって!」
「なるほど、ジラインを仕掛けた位置へ敵をおびき寄せるッスね」

作戦は成功し、地雷により一気にボルトが散らばった。

「すげー…」
「流石ッス!」
「ふふん」
「本当にガラクトロンオタクかもな」
「だから違うって」
「……」

上機嫌で先を行く仲間の背中を見つめながら、ラチェットは眉間に皺を寄せる。

「じゃあ、何なんだよ…」
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