ガスパー

船から少し離れた広間には、小さなロボから大きなブラーグまで、記憶の5割増しの量で待ち構えてくれていた。

「スゲー、敵が全部あっち攻撃してる!」

しかし、買った囮風船を一つ彼等の中心に放り投げれば、出会い頭の数発以外は全てそちらに注がれていく。

「っつーか、おねーさんが出した風船、ブッサイクじゃね?」

ラチェットが楽しそうに言う通り、顔の出来は最悪。目をひん剥いて口角を上げる自分の顔は正直目にしたくなかった。

その分、想像より丈夫な風船の様だ、ちっとも壊れない。これは今後、戦闘をかなり有利に進められそうだ。

「んなの見てないで、手伝いなさいよ!」
「ねえさん、敵の砲台を早速使い回しているッス」

敵全員が一点に集中しているので、背中がガラ空きの簡易砲台でも安全に撃ちまくることが出来る。

「オイラも後で撃ってみよーっと」

ラチェットは奴等に少し近付き、バクダンで余裕を持って処理していく。

「さてと!」

敵が片付き、風船の辺りにはボルトの海が出来上がっていた。次はその砲台の向きを切り替える。

「ちょっちょっと待て!悪かったって!冗談キツいよおねーさん!」
「ラチェットはともかく、ワタシまで狙撃するなんて理にかなっていないッス!」
「は?違う違う。そこ退いて」

彼等のすぐ後ろの壁には、円形の大きなフタらしきものがはめ込まれている。扉だとは思うが、侵入者の我々にはぶち壊す以外、開ける方法が無いのだ。

「サ、サンキュ…」
「どういたしまして」
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