ガスパー

「ふあぁ~…おっと失礼、はいらっしゃい!」

ガラクトロンショップを開くと、新しく販売されているガラメカが二つ。

「パンチングラブだって!カッチョイイー!」
「パワフルッスね」
「おじさん、これください!」
「待ってラチェット」
「何だよ」
「おじさま、このバルルングラブって…?」

水を差されたリーダーは不機嫌そうに腕を組む。

「ああ、それかい?戦闘補助系のガラメカさ。装着主の外見をインプットし、それにそっくりな風船の人形を繰り出して敵の気を引く。まあ、平たく言えば囮風船だ」
「……」

聞きたかったことは性能の説明ではなく、発売のタイミングについて。

惑星ガスパーでは、本来パンチングラブしか発売開始されていなかった筈。それは今でもしっかり覚えている。弾薬要らずの強力な近接型ガラメカが手に入った感動は一際強かったから。

「もしかして、さ。このガラメカ…予定より早く発売されてたりする?」
「お~、そうだよ。よくわかったな!お嬢さんもしかしてガラクトロンマニア?」
「まあ、そんなとこ」
「実はいきなり納期が早まってな。社員全員、ちょいと睡眠時間に響いちまってる」

そうこぼすと店員はまた大きなあくびをした。

「ご苦労様ッス」
「なあもう良いだろその話は。バルルングラブの方を買えば気が済むんでしょガラメカオタクさん」
「アンタ…私に対してだんだん失礼になってきてない?」
「親しき仲にも礼儀ありッスよ、ラチェット。あと、我々のボルトは新しいガラメカを両方買ってもお釣りが出るッス」

結局、新商品を二つとも買い、ラチェットはパンチングラブ、自分の腕にはバルルングラブを装着した。
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