アース

嘘だろ。ちょっと待ってよ。

「オラ、さっさと歩け!」

ここまで頑張ったのに。

「…一足遅かったッスね」

家族が、近所の人達と一緒にブラーグに捕まっていた。

「おねーさん、もうちょっと伏せて」

我が家、壊されてるし。

「いくらオイラ達でも、あの数には敵わないよ」
「そんな…」
「悔しいのは解るッス。けれど今は耐えるッスよ」
「でも!」

「ん?」
「どうした?」
「何か聞こえなかったか?」
「気のせいだろ。この地区も全員回収したな、次行くぞ」

待ってよ、どこに連れていくんだよ。私の家族を。私の友達、知り合い、人間を。

ふざけるな、お前らぶっ倒してやる!

クランクに口を、ラチェットに体を押さえ付けられ、叫んで飛び出していくことはできなかった。
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