ガスパー

溶岩惑星ガスパー。その名の通り、辺りは溶岩で埋め尽くされ、空まで真っ赤だ。

「あっ……ちぃ~!」

そのためか今まで見てきたような草木はほとんど無く、サボテンのような固い植物がなんとか生き長らえている。わずかな足場の他は、ブラーグが建てた補給施設のみ。

この星全体がサウナの様で、とにかく暑い。首までぴっちり閉じていたスーツの中は既に汗だくだ。

「早くこの星済ませてシャワー浴びたーい!」
「簡単に言うなよ、根性無し。あとアーマーの前開けるな!」
「む」

この星に居る間だけは、胸元までファスナーを降ろすのを許して欲しい。

「まあまあねえさん、ラチェットの言い分は一理あるッス。この辺りにも、惑星バタリアで遭遇した武装ブラーグが大勢居るッス。今スーツを脱ぐのは危険だし、この星の探索は簡単に済みそうにないッスよ」

ここもか。奴等の戦艦の補給所なため、より多くのブラーグが警備に当たっているのだろう。

暑いし足場は危険だしブラーグは強いし、火柱が立つような溶岩ではないことくらいが救いかもしれない。万一の時のため、開けていたファスナーを顎の下までしっかり閉じる。

「…確かに。まあまずは」
「はいはい、まずはショップだろ?」
「……」

まだクォークの件を引きずっているのか、露骨な態度をとられる。
1/5ページ