アンブリス
「フッフッフ…ハーッハッハッハ、やっと計画がうまくいったぜ!」
そう言いながらクォークは私を連れ、落っこちたラチェット達の頭上に来る。
「…どういうことッスか?」
「まだわかんないのか!?このばかちん!クォークは味方のフリしてたってこと!」
「ハハハ~、やぁっとボクが敵だってこと理解したみたいだな。ニブすぎー!」
「ここまで来て気付かない奴ならとっくのとうにフってます」
「だよね。そんで、あんたはその敵の足元でくつろぎ過ぎだよね」
手足は縛られたままでも、クォークと一緒に乗っている円盤の上で体育座りの姿勢くらいできる。
「だってあの子達は絶対負けないもん。私はどんと構えて待つだけ」
「確かに“あいつ等”はね。でも…“あんた等”ならどうかな?」
「え、何?ほどいてくれるの?…ちょ!?」
意外や意外、最低なヒーローは人質の縄をほどき、足で蹴り落としてくれた。
「おねーさっ」
仲間のピンチにすぐさま駆け出し両手を大きく広げたが、その仲間の背にはクランクが持つのと同じプロペラが付いている。何を言うでもないラチェットの隣に静かに着地。
「……」
「ただいまラチェット」
「お帰り。頭撫でんな」
「ありがとうね。来てくれて」
「…それ、もうさっき聞いたよ」
ちょっと忘れかけられたクォークが拡声器を取り出す。
「さ~てお姫様が勇者の元に帰られたところで、今夜のメインイベント!ショーの開幕だ!」
「ショーって?」
「怪物ショーさ!」
自分らの何十倍もある黒い毛むくじゃらの怪物が、架せられた鎖を外されるのを今か今かと待ちかまえている。こいつと確実に戦わなければならない。否、確実に倒さなければならない。
「でも、なぜ?」
泣き出しそうな声で哀れなロボが尋ねる。
「デモ、ナゼ?その理由は単純明快、ビックボスドレックはボクの」
「クォークの公式スポンサー、つまり悪ボスのお金があってこそ奴はテレビでお仕事できてるってこと」
「そういうことか、騙しやがってクォーク!」
「ちょいとそこのふてぶてしいヒロイン!ボクのセリフ盗らないでくれるかな?」
「むしろ最低なセリフを代わりに言ってあげたんだから、感謝してほしいくらい」
「そんな減らず口が…いつまで叩けるかな?」
ふと、ラチェットを横目で見る。クォークに対しての怒りを露わに見せているが、同時に泣き出しそうな顔にも見えた。
そうだ。この子にとって、奴はただの協力してくれていた有名人ではない。ずっと前から憧れていたヒーローだったのだ。何時からあれのファンなのかは不明だが、ラチェットの家に奴のポスターが貼ってあるくらいだから、時には心の支えにしていたのかもしれない。
絶対に勝たなければならない。
その頭に手を乗せ、汚い大人に言ってやる。
「夢見る子供の目の前では、そんな裏話は包み隠すものだよ。少なくとも私の居た星では、ね!」
ガラメカを一つ拝借し、デカブツの目の前へ駆け出す。
「おねーさん!?下がってて危ないよ!」
「いいから私のやり方見てなさい!」
撃った弾達は敵へ向かって流れていく。ゲームと同じようにホーミング機能が付いていて良かった。
「ねえさんが撃ってるの、ラチェットのブラスターッス!」
「いつの間に!…って、怪物こっち来てんじゃん!」
ブラスター弾を数十発打ち込まれた敵は、自分の体をバリアーで囲い、更には炎の玉を連射しながら追いかけてきた。
「走れラチェット!」
「おねーさんのバカー!!」
「ひゃ~!!ラチェット、もっと急ぐッスよ!」
背負われているだけのクランクの目と鼻の先には炎の玉が迫っていた。
「おねーさん今度は何立ち止まってんの!?何がしたいの!?」
「まあ見てなって」
橋を渡り終えたところで立ち止まっていれば、やはり怪物はマグマの熱にもがき苦しんだ。その声は地鳴りを発する程だ。
「なるほど、怪物を脆い橋に誘ってマグマに落としたッスね!」
「……よく、閃いたね」
「えっと、あの巨体なら橋を渡れないって思ってさ。さあ次行くよ!」
そう言いながらクォークは私を連れ、落っこちたラチェット達の頭上に来る。
「…どういうことッスか?」
「まだわかんないのか!?このばかちん!クォークは味方のフリしてたってこと!」
「ハハハ~、やぁっとボクが敵だってこと理解したみたいだな。ニブすぎー!」
「ここまで来て気付かない奴ならとっくのとうにフってます」
「だよね。そんで、あんたはその敵の足元でくつろぎ過ぎだよね」
手足は縛られたままでも、クォークと一緒に乗っている円盤の上で体育座りの姿勢くらいできる。
「だってあの子達は絶対負けないもん。私はどんと構えて待つだけ」
「確かに“あいつ等”はね。でも…“あんた等”ならどうかな?」
「え、何?ほどいてくれるの?…ちょ!?」
意外や意外、最低なヒーローは人質の縄をほどき、足で蹴り落としてくれた。
「おねーさっ」
仲間のピンチにすぐさま駆け出し両手を大きく広げたが、その仲間の背にはクランクが持つのと同じプロペラが付いている。何を言うでもないラチェットの隣に静かに着地。
「……」
「ただいまラチェット」
「お帰り。頭撫でんな」
「ありがとうね。来てくれて」
「…それ、もうさっき聞いたよ」
ちょっと忘れかけられたクォークが拡声器を取り出す。
「さ~てお姫様が勇者の元に帰られたところで、今夜のメインイベント!ショーの開幕だ!」
「ショーって?」
「怪物ショーさ!」
自分らの何十倍もある黒い毛むくじゃらの怪物が、架せられた鎖を外されるのを今か今かと待ちかまえている。こいつと確実に戦わなければならない。否、確実に倒さなければならない。
「でも、なぜ?」
泣き出しそうな声で哀れなロボが尋ねる。
「デモ、ナゼ?その理由は単純明快、ビックボスドレックはボクの」
「クォークの公式スポンサー、つまり悪ボスのお金があってこそ奴はテレビでお仕事できてるってこと」
「そういうことか、騙しやがってクォーク!」
「ちょいとそこのふてぶてしいヒロイン!ボクのセリフ盗らないでくれるかな?」
「むしろ最低なセリフを代わりに言ってあげたんだから、感謝してほしいくらい」
「そんな減らず口が…いつまで叩けるかな?」
ふと、ラチェットを横目で見る。クォークに対しての怒りを露わに見せているが、同時に泣き出しそうな顔にも見えた。
そうだ。この子にとって、奴はただの協力してくれていた有名人ではない。ずっと前から憧れていたヒーローだったのだ。何時からあれのファンなのかは不明だが、ラチェットの家に奴のポスターが貼ってあるくらいだから、時には心の支えにしていたのかもしれない。
絶対に勝たなければならない。
その頭に手を乗せ、汚い大人に言ってやる。
「夢見る子供の目の前では、そんな裏話は包み隠すものだよ。少なくとも私の居た星では、ね!」
ガラメカを一つ拝借し、デカブツの目の前へ駆け出す。
「おねーさん!?下がってて危ないよ!」
「いいから私のやり方見てなさい!」
撃った弾達は敵へ向かって流れていく。ゲームと同じようにホーミング機能が付いていて良かった。
「ねえさんが撃ってるの、ラチェットのブラスターッス!」
「いつの間に!…って、怪物こっち来てんじゃん!」
ブラスター弾を数十発打ち込まれた敵は、自分の体をバリアーで囲い、更には炎の玉を連射しながら追いかけてきた。
「走れラチェット!」
「おねーさんのバカー!!」
「ひゃ~!!ラチェット、もっと急ぐッスよ!」
背負われているだけのクランクの目と鼻の先には炎の玉が迫っていた。
「おねーさん今度は何立ち止まってんの!?何がしたいの!?」
「まあ見てなって」
橋を渡り終えたところで立ち止まっていれば、やはり怪物はマグマの熱にもがき苦しんだ。その声は地鳴りを発する程だ。
「なるほど、怪物を脆い橋に誘ってマグマに落としたッスね!」
「……よく、閃いたね」
「えっと、あの巨体なら橋を渡れないって思ってさ。さあ次行くよ!」