キャナル 番外編

二人があのシビアなステージをクリアすれば、レース受付兼観戦会場から通路で繋がっている小さな広場に来る筈だ。居ても立っても居られなくてシップから出て来てしまった。と言っても、通路はあちら側から檻で塞がれているため、その目の前で張り込む。

「またすぐアナタと会えるとはね。あの子達と一緒に行かなかったの?」
「私、泳げなくて。あ、来た!?」

意外と早くエレベーターが上がってくる音がした。

「ラチェット!クランク!」
「おねーさん!?どこ?」
「左前方ッス!」

床に設置されたボタンをラチェットが踏み、こちらの広場とクォークが居るトレーラーがある広場とが行き来可能になった。

「無事だったんだね!」
「おねーさんの言う通り、ちょっと危なかったけどね」
「生きてまた会えて良かったッス」

再会、後、安堵。だが、何故かこのタイミングでラチェットがもじもじし始める。

「ん?どうした?」
「いいや。たださ、いつものガバ~ッムギュッが無いなって思って」
「あら坊ちゃん、もしかしてハグしてほしかったの?」
「なっ、ふざけるなよ!」
「意地張んないの、ほらほらよくできましたラチェット君」

腕を伸ばすが、脇の間をすり抜けられてしまう。

「クォークが待ってるよ、行こうぜ」

ラチェットが背を向けると背中に背負われた相棒さんと目が合った。

「ねえさん。そんな上から目線じゃ、ラチェットは落ちそうにないッスよ」
「うん、攻略の参考にさせていただくよ」
「クランク!」
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