キャナル

考えたくはなかったが、予想通り相棒の息は続かなかった。水面までまだしばらくあるというのに力尽きた。ゲームと同じく、彼の肺活量は乏しいようだ。

「っ…はぁ!!」

だが今回はゲームと違う点がある。ラチェットよりも大分長い間息を止められる人間が一緒に居るのだ。

「はあっ……はぁ、ラチェット……しっかり…!」

力を無くしたリーダーを抱え、地上行きのエレベーターに乗り込みスイッチを踏めばもう安心。気を失ったラチェットの体を仰向けに寝かせる。あとは彼の目が覚めれば良いのだが。

「ラチェット!目を覚ますッス!」

背中に引っ付いていたクランクも、立ち上がってラチェットの体を揺する。

「ラチェット!」

反応は無く、エレベーターが昇り続ける音だけが響く。

「息をしていないッス!ねえさん、人工呼吸ッス!」
「え……そ…そうだね!」

迷っている暇は無い。

「その前にまず気道を」

ロンバックスの体内がヒトと同じ構造をしているとは限らないが、とりあえずアゴを浮かせ顔をこちらに向ける。

それと同時に、自分の腰に装着していた携帯からいつもの光が放出された。

「ゲホッガハゲホ!」
「……」

ラチェットはすぐに息を吹き返し、詰まっていた水は見事に私の顔を直撃した。

「ケホッ……えっと」
「……」

そんな様子をクランクだけはお構い無し。

「ラチェット!心配したッスよ!」
「ありがと……ごめん……大丈夫?」
「……お陰様で」
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