キャナル

「……」
「おねーさん、まだ起きてる?」

隣のベッドからやや小さな声で呼ばれる。

「んー、何?」
「あのご飯さ、味薄くなかった?」

大した話ではないので、照明は落としたまま、横になったままで答える。

「そう?私には丁度良かったよ」
「ふーん」

作った本人の前で文句を言わない程度には成長してくれているようで嬉しい。

「どんな味だったか、具体的に聞かせていただきたいところッスね」
「クランクも起きてたのかよ」
「ロボットは眠らないッス。食卓にもつかないッス」

いつも聞く小さな足音が、二人の寝るベッドとベッドの間で止まる。

「えっと…どんな味かって……うーん」
「あの、今のは皮肉だから真面目に答えなくても結構ッスよ」

今晩は宇宙人による非常に特殊なメニューを覚悟していたのだが、振る舞われたのは何故か地球人寄りとも言える料理だった。お箸もあった。

「思っていたより落ち着いた味だったかな。あとさ、あれ、塩味が利いてたメインディッシュ。ここの特産品じゃない?うようよ居るし」
「えー!?あのデカい魚?オエーッ」
「こらこら」
「あの魚は汚染されている海に生息しているため、食料品として利用することは禁止されている筈ッス」
「…おえーっ」

こうして一晩(と言っても、明けも暮れも無い真っ暗な惑星なので、招かれてから半日弱の間)、しっかり休みを取った。
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