アース

「ありがと!」
「弾もおじ様からのおまけだよ!」

手袋をはめると、腕からこぼれかけた弾もしっかりそれに吸い込まれていった。

「おらおら!爆弾投下!!」

目の前の道を開けながら走る。ぶしゃぶしゃと黄緑色の体液が弾け、自分の服に飛び散ってきた。

案の定、バクダンを使い切ったラチェットは蛙から逃げ回っている。

「おねーさん!?出てきちゃ危ないって!」
「ラチェットこそ弾切れのヘトヘトでしょ!まだバーナー持ってないの!?」
「バーナー?」
「ザコ敵に囲まれた時役に立つんだよ、今は一旦逃げるよ!」

ラチェットのお腹に手を回して抱え、バリアの地帯へ向かう。が、余裕の表情を見せている宇宙人に囲まれてしまった。

「……」

銃口は全て自分へ。

「ハハ…いくら何でも、敵わないや…」

動けない。避けられない。逃げられない。なんとかするなんて人間には不可能。もう終わった。こいつらの攻撃……痛いんだろうな。目を固く瞑る。

しかし、そんな覚悟は要らなかった。自分の胸元で、ゲームで聞いた壁ジャンプの音。

「なんのっ」

目の前に、彼の振りかぶったレンチの先端。気色悪い断末魔とあのお金の集まるやかましい音。

「行くよ、おねーさん!」
「う、うん!」

手を引かれ、ロボットとおじ様のもとへ走った。

何だよ。ラチェットって、すっごいカッコいいじゃん。

彼はレンチでザコ敵を弾きながら私の手を引っ張る。

身長差があるから、どうしても前のめりになって少し走りにくいけれど。服が返り体液でベトベトだけれど。でも、何だかとっても良い気分。ラチェットの手って、以外と大きいんだ。

そうか、王子様に助けられるお姫様はいつもこんな気持ちなのかもしれない。
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