キャナル

今、ゲームプレイ時には干渉することの出来なかった建物の中に通されている。内装はラチェット&クランク2に出てきたラチェットの家のような近未来的な造りだ。

「へー…」
「部屋はここを使って。ちょっと古いスタイルだけど勘弁ね。トイレはバスルームの隣にあるわ」

勘弁どころか、ベッド付きの上等な客間。地面以外の場所で横になれるのは久しぶりなので感動もひとしおだ。

「……」

安心したと同時に頭が余計なことにまで回るようになる。ここ最近の自分の無力さを思い出す。

「情けないよね。リーダーに口出ししといて、自分は勝手に行動して……あげく、こうやってみんなに助けられてる」
「そんなこと無いッス。ねえさんはよくやってるッス」
「ホーント、おねーさんの言う通りだよ」
「ラチェット!」

クランクは自分のフォロー諸共彼女を突き落としたリーダーを制したが、ラチェットは構わず続ける。

「オイラ言ったよね、頼ってって。でもおねーさんはぶっ倒れた。頼ってない証拠だよ」
「誰もぶっ倒れてなんか!ちょっと安心して、その…レースが終わったから、腰が抜けただけだもん…」
「ツッコミのキレも悪い。そーとー疲れてるんじゃないの?」
「勝手に決めつけないでよ」
「ハイハイ、そこまで。人様の家で喧嘩しないの。アナタ達仲間なんでしょ?」

険悪ムードな二人の間に割って家主がそれぞれの肩に手を置くと、何かヘドロのようなものが。それに磯の香りも。

「ディナーの前に、まずはシャワーね」
10/20ページ