アース

まさかまさかこの声は、と思った。

一時間程前までは、私の動かすスティックとボタンに従っていたあの、キャラクターにそっくりな声。むしろ、そのままの声。今まさに私を助けようとしてくれている…!あのラチェットが!こんなことってアリ!?

「いっくよー!」

そうだ、下がっていなければ。ホコリだらけの地下にもう一度降りて、一階を塞いでいる瓦礫を見つめた。数秒後、爆発音と共に天井が崩れ、光が差し込む。

「おねーさん、大丈夫!?」

逆光の中、自分を助けにきてくれているのは、あぁまさしくあのシルエット。

「見たところ無傷ッス」

隣にはちゃんと小さなシルエット。

訳がわからない。学校が壊されて、みんながものの数分で連れていかれて、自分は埋められてホコリだらけになって。

同時に、怖くて、寂しくて、心細くて、泣きたくて。

そんなところにゲームの主人公が助けに来て。本当に訳がわからない。けれど、彼女はとりあえず、というより思わず、彼に抱き付いた。

「…お、おねーさん?」
「きっと怖かったんスよ」

思っていたより固い毛が人間の肌に突き立ってくるが、1メートルにも満たない彼をもう少しだけ抱きしめていたかった。
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