ユードラ
今までは、敵との戦闘において私はほぼ無傷だ。この星もしかり。
「それはアクマン使いまくってるからだろ」
「あんたが買ってくれたお陰でね」
だが、もし体力の限界を超えてしまったら、どうなるのか。画面越しのラチェットやクランクは倒れるだけだけど。
まさか私の場合は、目の前の奴らみたいに一瞬でいくらかのボトルに変わってしまうのだろうか。
もし、ボルトになったら。
元の姿には二度と戻れないだろう。
財布に吸い込まれ、他のボルトとごちゃまぜにされてしまったら。売買に使用されてしまったら。
もう私は死んだと同然なのだろう。
いや、ボルトになった時点で死んでいるのだろう。
「おねーさん、またぼーっとしてる」
「…ごめん」
急に戦うのが怖くなってきた。辺りの敵が全滅し、余って行き場を無くしたアクマンが自爆するまで目が離せない。あれで最後の弾だ。
ラチェットが瀕死になったり、敵を倒してきたり、スキッドの命に対する軽い意識に憤慨したり。だが自分自身の死については考えが甘かったかもしれない。
この星はまだそれ程難しくはないが、この先は果たして
「ねえさん、どうしたッスか?顔色が悪いッスよ」
「避けて!」
心配してくれたクランクがリーダーの声と共にいきなり目の前から消え、ブラーグの撃った弾とご対面。すぐさまラチェットとは別方向へ回避。
「お喋りしてる場合じゃ…」
「やば…!」
私の動きを予測されていたのか、ゲームでは案外ゆっくりだと思っていた敵の弾がもう目前に迫っていた。避けきれない。
「!!」
私の、脚が。
「おねーさん!!」
たった一発の衝撃でバランスを崩し、前のめりに倒れた。
「…いったぁ…」
「よくも!」
遠くの方で汚らしい悲鳴が次々と聞こえる。ラチェットが片付けてくれているのだろう。
それより、何なんだこの感覚は?
撃たれた部分が、まるで筋肉痛のように鈍く痛む。その強さは全思考が痛みだけに注がれる程。
「い、たい…痛いぃ~!」
ナノテック…ナノテックは?
この辺りのは全部使い切ってしまった。ゲームをやり込んだ私ならわかる。
「うう…おい、携帯…」
特別な頼みの綱はうんともすんとも言わない。何でだよ。ラチェットが死にかけた時はあんなに光っていたのに。
「……」
痛みでまともに考えられなくなってきた。死ぬ程痛い。
「このっ…お前で最後だ!」
意識が遠のく直前にラチェットが敵を片し終えたらしい。すぐさま駆け寄ってきた。
「おねーさん!大丈夫!?」
「結構ダメっぽい…」
「あれは使えないの!?ほら、ナノテックが出るやつ!」
「それもダメっぽい…」
ポケットから取り出しても、この通り何も起こらない。
「貸して!…うーん、壊れてんのか?」
力の入らない私の手からひったくり、ラチェットは携帯を振ったりボタンを押したりした。反応無し。
「なら、オイラがナノテックの箱探してくるから!クランクは、わっ!?」
するとようやく青白く光り始めた。ラチェットが一振りすると、それらはどんどん脚に吸い込まれていく。寝込む程の痛みはまるで嘘だったかのようだ。
「ふー、助かった。ありがとラチェット」
「オイラは何もしてないよ」
「その携帯、ナノテックを放出するまで少々時間がかかるみたいッスね」
たしかに。以前ラチェットが死にかけた時の発動でも、彼の死に顔をたっぷり拝む時間があるくらいラグがあった。クランクも言っているし、間違い無いだろう。
ただ、その欠点込みでもこれはかなり便利だ。手放せない。
「それはアクマン使いまくってるからだろ」
「あんたが買ってくれたお陰でね」
だが、もし体力の限界を超えてしまったら、どうなるのか。画面越しのラチェットやクランクは倒れるだけだけど。
まさか私の場合は、目の前の奴らみたいに一瞬でいくらかのボトルに変わってしまうのだろうか。
もし、ボルトになったら。
元の姿には二度と戻れないだろう。
財布に吸い込まれ、他のボルトとごちゃまぜにされてしまったら。売買に使用されてしまったら。
もう私は死んだと同然なのだろう。
いや、ボルトになった時点で死んでいるのだろう。
「おねーさん、またぼーっとしてる」
「…ごめん」
急に戦うのが怖くなってきた。辺りの敵が全滅し、余って行き場を無くしたアクマンが自爆するまで目が離せない。あれで最後の弾だ。
ラチェットが瀕死になったり、敵を倒してきたり、スキッドの命に対する軽い意識に憤慨したり。だが自分自身の死については考えが甘かったかもしれない。
この星はまだそれ程難しくはないが、この先は果たして
「ねえさん、どうしたッスか?顔色が悪いッスよ」
「避けて!」
心配してくれたクランクがリーダーの声と共にいきなり目の前から消え、ブラーグの撃った弾とご対面。すぐさまラチェットとは別方向へ回避。
「お喋りしてる場合じゃ…」
「やば…!」
私の動きを予測されていたのか、ゲームでは案外ゆっくりだと思っていた敵の弾がもう目前に迫っていた。避けきれない。
「!!」
私の、脚が。
「おねーさん!!」
たった一発の衝撃でバランスを崩し、前のめりに倒れた。
「…いったぁ…」
「よくも!」
遠くの方で汚らしい悲鳴が次々と聞こえる。ラチェットが片付けてくれているのだろう。
それより、何なんだこの感覚は?
撃たれた部分が、まるで筋肉痛のように鈍く痛む。その強さは全思考が痛みだけに注がれる程。
「い、たい…痛いぃ~!」
ナノテック…ナノテックは?
この辺りのは全部使い切ってしまった。ゲームをやり込んだ私ならわかる。
「うう…おい、携帯…」
特別な頼みの綱はうんともすんとも言わない。何でだよ。ラチェットが死にかけた時はあんなに光っていたのに。
「……」
痛みでまともに考えられなくなってきた。死ぬ程痛い。
「このっ…お前で最後だ!」
意識が遠のく直前にラチェットが敵を片し終えたらしい。すぐさま駆け寄ってきた。
「おねーさん!大丈夫!?」
「結構ダメっぽい…」
「あれは使えないの!?ほら、ナノテックが出るやつ!」
「それもダメっぽい…」
ポケットから取り出しても、この通り何も起こらない。
「貸して!…うーん、壊れてんのか?」
力の入らない私の手からひったくり、ラチェットは携帯を振ったりボタンを押したりした。反応無し。
「なら、オイラがナノテックの箱探してくるから!クランクは、わっ!?」
するとようやく青白く光り始めた。ラチェットが一振りすると、それらはどんどん脚に吸い込まれていく。寝込む程の痛みはまるで嘘だったかのようだ。
「ふー、助かった。ありがとラチェット」
「オイラは何もしてないよ」
「その携帯、ナノテックを放出するまで少々時間がかかるみたいッスね」
たしかに。以前ラチェットが死にかけた時の発動でも、彼の死に顔をたっぷり拝む時間があるくらいラグがあった。クランクも言っているし、間違い無いだろう。
ただ、その欠点込みでもこれはかなり便利だ。手放せない。