ユードラ

『これはビッグボスドレック様』
『スケジュールは、遅れておらんだろうな』

これは以前、ケルバンで地雷に囲まれながら観たインフォボットのビデオ。

『ご覧の通り、作業は順調に進んでおります』

「おねーさん、またそれ観てんの?」
「いや…ちょっとね」

『信頼しているからな』

私がゲーム画面を通して観たものと今観ているものとはそう変わりない。

「もうすぐ着く星の予習を、と思ってさ」
「木を切ってるっていう報告だけだぜ?」
「敵を事前に研究することは大事ッス」
「でしょ?」
「それで、何かわかったッスか?」
「えーと…この部下のロボット弱そう」
「だよなー、バカっぽいし」
「うん。あと……」

一番心配なのが落下。

よくよく考えてみれば、同じ落下でも例えばケルバンでは高層ビルが足を着ける地面があるはず。それならプロペラが壊れない限り落下死は防げるだろう。

「どうやら、ねえさんはこの映像から何か他のことにも気がついたッス。ラチェットも見習うッスよ」
「へいへい」

しかしここはどうだ?地面自体が切り取られている。人工的な道路や安全に着地できる地面がこの奈落の底に存在するとは考えにくい。

「おーい、おねーさーん。おーねーえーさーんー!……これ、ぼーっとしてるだけじゃないの?」
「恐らく長考ッスよ」
「マグマ、とか…かな」
「は?」
「は?」
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