アース

数十分後。

「うわ。かなりボロボロな星なんだな、地球って」
「違うッス!これはブラーグ達が破壊したんッスよ…酷い有様ッス…」

ラチェットとクランクを乗せた宇宙船は日本上空を飛んでいた。彼らが地球上の数ある陸地の中からこの小さな国を選んだのは何故か、ラチェットのこの言葉に尽きる。

「あの島、すげぇ変な形してるー!行ってみようぜ!」


「ラチェット、あそこ辺りが着陸に向いているッスよ」
「何かの運動場みたいだな。いよ~し!!」
「……ラチェット。着陸運転、経験あるッスか?」
「へ?無いけど大丈夫だって」
「不安ッス」
「心配すんなよ。これでもオイラは、ガラメカを使わせれば右に出るロンバックスはいないんだぜ」
「説得力無いッスよ!」

言い争っている内に、宇宙船はふらふらと着陸した。

「ほら楽勝!降りようぜ……いよっと。この星、ちょっとだけガス臭いや」
「よっと。初めての着陸にしてはなかなか…良くないッスよ!!ここ、足が傾いているッス。なっていないッス!こんな設計でよく足が出たッスね、よく飛んでいたッスね!」
「いーじゃんかー、無事なんだし。それよりここ、何なんだろ?マンションでもあったのかな」

…ピッピ…

「今の音…?」

…ピッピピ…

「ラチェット!!運が悪けりゃ死ぬところだったんスよ、聞いているッスか!?」
「…ああ、聴こえているよ」

…ピッピ~…

「クランク、これ笛の音だよ!」
「やっぱり人の話を…笛?」
「こっちだクランク!」

ブラーグに侵略される前は、さぞかし立派な建物が建っていたであろう、瓦礫。そこから音が鳴り続けている。

ピッピピ ピッピ~

「ここだ…ここから聴こえる」
「この下に、生き埋めになっている地球人がいるッスね」

ピッピピ ピッピ~

コンコン

ラチェットは笛のリズムに続けて瓦礫を小突いた。

「誰か…いますか?」
「よし、助けようぜ!」
「あの……宇宙人じゃない…ですよね?」

宇宙人である。

「大丈夫ッスよ、助けに来たッス!」
「あっありがとうございます!!」
「バクダンで壊せるかな…」
「他に誰か一緒ッスか?」
「いや、私一人…」
「おねーさん、出来るだけ下がってて!」
「はっ?」
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