ノバリス

星が綺麗だなあ。初めて宇宙船に乗ってそう考えていた時、実はじわじわ感じていたんだ。

「えーとね、地球にはテレビゲームがあって…」

私はこの物語に、既に干渉してしまっているんだ。

「そのゲームに…あー、なんて言えば良いかな?」

ネタバレ厳禁なんて、気をつけたところで果たして何が軽減される?

「ゆっくりで良いッスよ」

何が守られる?

「えーと、私はラチェットとクランクが出てくるゲームを持っているの」

何が変わらない?

「あなた達が出会う場面も、ノバリスで宇宙船が墜落することも、全てのガラメカの機能も、ゲームで知った」

彼らに助けてもらった時点で、会話を交わした時点で、もう私による干渉は始まっているんだ。

だったら、意地でも私をストーリーに含んだ上でのハッピーエンドにしてやろう。

「じゃあ…ワタシ達は、最終的にどうなるッスか?」
「ただいまー…二人して何だよ?なんか話してたの?」

一番知りたいことを聞く前にラチェットが帰ってきてしまった。

「ま、まあ、この話はまた今度ゆっくりね、クランク」
「おねーさんってば、なーんーだーよー教えてよー」
「おーしーえーなーいー」

‘また今度’は忘れた頃に来るだろう。じゃれあっている二人を眺めながら、根拠の無い予想が頭をよぎった。
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