ノバリス

「あのね二人とも、レディが今から着替えるの。操縦席か外で待っていてくれないかな」
「ああ」
「こりゃ失礼ッス」

さも当たり前のように私を凝視していた二人。彼等について来てから初めての個人的空間。そういう意識が無いのか?

ありえない。年頃の異性を何だと思っているのだろうか。あいつら絶対モテないぞ。

替えの下着と洋服を出す。

「まあ、勝手について来た手前、ぐちぐち文句を言う筋合いは無いんだけどさ」

この星の代表から貰い受けたシップの後部は、必要最低限のものしか収納されていない無機質な空間。オシャレのオの字も無い。

これから先‘女だから’なんて言っていられない。汚れても良い服なんて選んでいられない。着たら間違いなく汚れると考えた方が良さそうだ。

ボルトを貯めて、どこかでアーマーを買う手もあるが、残念ながら‘どこか’はラチェクラ1に出てこない。

突如、背後に気配と外からの日光。

「おねーさん、着替え終わったら教えてね」
「……」

再び個人的空間。あいつ絶対モテないぞ。
9/11ページ