おまけ

フェニックス号で移動中、何者かから通信をキャッチした。画面に映し出される懐かしい顔に、ラチェットとクランクは目を見開いた。

「おねーさん!!久しぶり!」
『ハァーイ、ラケットだかソケットだかカセットだか何だったか?』
「う…!」

ついこの間披露した自分のジョークを真似され、ラチェットの顔が喜びから一転、思い切り引きつった。

「筒抜けッスね」
「最近のことまでゲームになってんのかよ!?」
『残念ながら向こう数年は覚悟しといて』
『おい生ゴミ!そこ動くんじゃねーよ』
『そうよ、生ゴミは生ゴミらしく大人しくしていなさい』

他の声が混ざっているし、よく見ると彼女は両手をロープで縛られている。どうやら画面の向こう側は敵のアジトのようだ。


「ハァーイ生ゴミは大人しくしてまーす、その生ゴミが居なかったら今頃存在すらしてないロボの皆さん」

メタルな顔に表情が浮かぶことはない。だがここに居る全員をカチンとさせてやった手応えくらいなら感じ取れる。

「バカな生ゴミは自分が置かれている状況がよくわかっていないみたいね」
「あんたら機械みたいに変わり映えのない思考回路してる訳じゃないんでね」
「そうやって減らず口叩くのが上手い奴に限って大したこと無いのよねえ。実際あの子達の足手まといになっている訳だし」
「その私より口がお上手で今正に言い伏せてくるロボットちゃんを一台知っているんだけどさ、誰か鏡持ってきてくれる?」
「先に存在しているからって調子乗るんじゃないわよ」
「先輩様ナメると痛い目見るよ」

周りのロボット達は情けないことに、殺気を放つコートニーが怖ろしくて凍り付いている。

「言ってくれるじゃない脂汗ギトギトの生ゴミが」
「油だらけにしないとサビる鉄クズが」

二人はほぼ同時に頭を、否、上半身ごと振りかぶる。

そして鈍い衝突音が室内に響いた。

「キャア!」
「ふ~っ……やるじゃん」

お互いフラフラと後方へよろけていく。

「コートニー様!」
「生ゴミのくせになんつー石頭してるのよ!」
「ナメてかかるからこういうことになるんだよ。言ったじゃん、痛い目見る、よっ…て…」

そのまま彼女が意識を失ったところで通信が途切れた。


「相変わらずヤンチャしてるな」
「それでこそねえさんッス」
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