地球

遂に懐かしの地球に戻ってきた。三人とも、この惑星を訪れるのはこれで二度目だ。

珍しい形をした島のとある広場には、ラチェットが初めて製作した小型船の着陸跡がそのままの形で残っている。旅の途中で何度も乗り継いだ結果、大層立派になった船をその上に停めた。

ハッチを開くと心地良い風が出迎えてくれる。降り立ってまずは腕を伸ばし、胸一杯に空気を吸い込んだ。

「んーっ……なんか、地球の匂いって感じがする。うまく言えないけど」
「…ふーん」
「やはり故郷の空気は落ち着くッスか?」
「そうだね」

この短期間で色んな惑星を訪れてきた。どの星も個性豊かで、溶岩だらけの星は辛かったし猛毒ガスが充満している星は何もできなかった。反面、緑豊かな星やリゾート惑星なんてものもあったが、そこに同じ人間や生物は居なかったし、大気は地球上ではまず嗅げない特殊な香りがした。

クランクの言う通り、ここが一番安心する。

「…オイラは苦手。この星ちょっとガスっぽいもん。あ、来た来た」

空からは無数の貨物船がゆっくりと降りてきている。あの中に、誘拐された人類全員が乗せられているらしい。

「着陸後、中に収容されている地球人が段階的且つ安全に意識を取り戻すようプログラムしてあるッス」
「やるじゃんCEO。と、クランクもね」
「みんなを助けることができたけど、これからが大変だね…」

ラチェットが見渡す限り建物は崩れ道は瓦礫で散らかり、当然だが人の気配は感じられない。無論誰の手も入っていないので、ここを初めて訪れた時と全く同じ状態だ。荒天惑星のゴーストタウンと良い勝負かもしれない。

「まあ、それは私ら地球人でなんとかしていくよ」

復興のことを考えると気が遠くなるばかりだが、それは若いロンバックスと小さなロボットに頼ることではない。

「じゃあ、お礼は…さっきベルディンで言ったから省略。ラチェット、クランク。元気でね」
「…うん」
「ねえさんも、お元気で」

耳を垂れ下げているヒーローはまだ何か言いたげな様子。

「…先に乗ってるッスよ」

クランクは一足先に宇宙船へ戻り、離陸の準備に取りかかった。
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