ベルディン

「あ、そうだ!ラチェット、クランク!まだ一仕事残って…」

彼らは最早不要となった新惑星を見つめている。言われなくとも、終止符を打つにとっておきな兵器に気付いたようだ。

そう、これでこの物語は終わる。最後の仕上げだ。

共に戦ってきた地球人だけでなく周りに居る登場人物達も、足場に降りきれず上空のヘリコプターに残っている協力者達も、皆固唾を飲んでその瞬間を見守っている。

「……」

ひっくり返ったレーザービーム砲を発射して、新惑星ごと破壊して、それで……

「それで……あ」

自分でクリアしたことは無いが、他人のプレイで見た覚えがある。

ゲームの中で最後の操作となるパワースラム発動の後、粉々になった惑星が隕石となってここ、ベルディンに降り注ぐシーン。

まずい!!

「全員、退避ー!!」

叫び声とほぼ同時に、ラストシーンの詳細をCEOから聞いていないラチェットがスイッチの上でジャンプしていた。

「は?」
「退避?」
「何で?」
「そう言えば……ヤベェ!!」

ストーリーを把握しているスキッドもすっかり忘れていた。この場に居ては非常に危険だ。

「みんな早くヘリに!いやそれより物陰か何かに隠れた方が…!」
「物陰なんて無ェよ!逃げるぞ!」
「何事だ?まだ何か起こるとでも言うのか!?」

ギャラリーが慌ただしくヘリに乗り込む間に、超強力なレーザービームが轟音と共に空へ放たれる。

「すっごいビームねー、お客さん喜びそうねー!」
「どうせなら巨大化マッシーンよりも、こんな素晴らしい砲台の開発に携わりたかったなぁ」
「良いから乗り込めー!!」

継ぎはぎだらけの星は予定通りバラバラに砕け散った。その残骸の一部は一番近い惑星の引力の影響を受け、炎を纏いながら主人公達に襲いかかる。

「なぁ…おい……何だかヤバくない?オイラ達も…」
「逃げるッスー!!」
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