ベルディン
ドレックを隣の星へ送り出した足場は元の状態から丁度180°回転した位置で静止し、そこにヘリコプター数機とポクタルから来た船が降りてきた。
「やったなボウズ!」
「故郷の星、いや、この銀河を救ったんだ!」
「エヘェ、これで安心ねー!」
遂に悪を打ちのめした主人公二人を、協力者達は嬉嬉として取り囲んだ。
「よくぞ困難な任務を成し遂げた!」
「お手柄よぅ!」
「ヒーロー誕生の瞬間です!銀河に向けて一言どうぞ!」
群衆をかき分け前に出てきたダーラがラチェットの顔にマイクを向ける。
「オイラは、えーと、当然のことをしたまでだよ。なぁクランク」
「ウィッス」
今の歓迎ムードが少々照れ臭い。背中から降り立った相棒はいつもの様に相槌を打ってくれる。
「パワースラム始め、ブースターも大活躍でしたね」
「クランクはよくやってくれたよ。最高のパートナーさ」
「照れるッス」
「この場に立ち会えて光栄です。この功績並びに喜びを、誰に一番伝えたいですか?」
「誰って……」
ラチェットとクランクの目線の先には、もう一人の相棒。
居合わせている者達は察して三人のために道を開けるが、彼らはお互いに近付こうとせずそのままの距離で会話し始める。
「やるじゃん!さっすが、私が見込んだだけのことはあるね」
「へへ、見る目があってよかったじゃん」
茶化すように親指を立ててみせるが、やはりここはきちんとお礼を言うべきだろう。
「ありがとう、ラチェット、クランク。本当にありがとう」
「オイラだって……おねーさんが居たからここまでやってこれたんだ」
「ねえさんには、助けられてばっかりだったッス」
「私だって。むしろ足引っ張ってたこともあったし」
最初はちょこちょこ口出ししながらついて行くだけだった。特にリーダーには、自分が思っている以上に心配をかけてしまっていたし。
「それに、途中からは全然会えてなかった……それでも、助けに来てくれて本当にありがとう」
「助けるに決まってんだろ?一緒に頑張ってきた仲間なんだから」
「その仲間を疑った時もあったッスね。盗聴器を付けちゃうまでに」
「だ、だからそれは違うんだって!オイラはリーダーとして…」
「そーだ、レディに無断で盗聴器付けるってどういうこと!?」
耳を垂れ下げ肩を縮込ませるラチェットの足下で、他人事のクランクはウヒヒヒと笑い声を上げている。
「えーっと盗聴器なんかの話よりさぁ、そう!おねーさんの携帯、グレードアップしたんだぜ!オイラ達を無限に回復してくれるんだ!」
「知ってる。ドレック殿の監視カメラから観てたよ」
「我々と同時刻にここへ駆けつけた彼女は、どうやらヒーロー協力者の代表者のようです。話を伺ってみましょう!」
「え?わ、私!?」
痺れを切らしたダーラは撮影スタッフを引き連れ、離れた場所で突っ立っている地球人を取材し始める。
「……」
慣れないインタビューにぎこちなく答える彼女を二人は遠くから見つめる。
「ビッグバッドボスは倒したけど、おねーさんの首輪は取れず終いだな」
「そんな!あの爆弾を解除する方法はきっと見つかるッス!まずはロボ工房に持ちかけるッスよ!アルなら」
「いや、急ぐこと無いさ。だっておねーさんは……これからロンバックスの居ない星に帰るんだから」
故郷の星と人々を救うという彼女の目的は果たされた。
「取り外すのは、地球の科学者にでも任せようぜ」
爆弾が取れようが取れまいが、そもそも一緒に居る必要が無くなってしまったのだ。
「おねーさんが助かったんなら、彼女を助けられたんだから…もう、それで良いかなって」
「ラチェット…」
「今ちゃんと話もできたしさ」
「……」
ラチェットは仲間から背を向けて反対方向へと歩き出す。
そしてそびえ立つレーザー砲に沿って空を見上げた。
「なあ、クランク…見てみろよ!」
「やったなボウズ!」
「故郷の星、いや、この銀河を救ったんだ!」
「エヘェ、これで安心ねー!」
遂に悪を打ちのめした主人公二人を、協力者達は嬉嬉として取り囲んだ。
「よくぞ困難な任務を成し遂げた!」
「お手柄よぅ!」
「ヒーロー誕生の瞬間です!銀河に向けて一言どうぞ!」
群衆をかき分け前に出てきたダーラがラチェットの顔にマイクを向ける。
「オイラは、えーと、当然のことをしたまでだよ。なぁクランク」
「ウィッス」
今の歓迎ムードが少々照れ臭い。背中から降り立った相棒はいつもの様に相槌を打ってくれる。
「パワースラム始め、ブースターも大活躍でしたね」
「クランクはよくやってくれたよ。最高のパートナーさ」
「照れるッス」
「この場に立ち会えて光栄です。この功績並びに喜びを、誰に一番伝えたいですか?」
「誰って……」
ラチェットとクランクの目線の先には、もう一人の相棒。
居合わせている者達は察して三人のために道を開けるが、彼らはお互いに近付こうとせずそのままの距離で会話し始める。
「やるじゃん!さっすが、私が見込んだだけのことはあるね」
「へへ、見る目があってよかったじゃん」
茶化すように親指を立ててみせるが、やはりここはきちんとお礼を言うべきだろう。
「ありがとう、ラチェット、クランク。本当にありがとう」
「オイラだって……おねーさんが居たからここまでやってこれたんだ」
「ねえさんには、助けられてばっかりだったッス」
「私だって。むしろ足引っ張ってたこともあったし」
最初はちょこちょこ口出ししながらついて行くだけだった。特にリーダーには、自分が思っている以上に心配をかけてしまっていたし。
「それに、途中からは全然会えてなかった……それでも、助けに来てくれて本当にありがとう」
「助けるに決まってんだろ?一緒に頑張ってきた仲間なんだから」
「その仲間を疑った時もあったッスね。盗聴器を付けちゃうまでに」
「だ、だからそれは違うんだって!オイラはリーダーとして…」
「そーだ、レディに無断で盗聴器付けるってどういうこと!?」
耳を垂れ下げ肩を縮込ませるラチェットの足下で、他人事のクランクはウヒヒヒと笑い声を上げている。
「えーっと盗聴器なんかの話よりさぁ、そう!おねーさんの携帯、グレードアップしたんだぜ!オイラ達を無限に回復してくれるんだ!」
「知ってる。ドレック殿の監視カメラから観てたよ」
「我々と同時刻にここへ駆けつけた彼女は、どうやらヒーロー協力者の代表者のようです。話を伺ってみましょう!」
「え?わ、私!?」
痺れを切らしたダーラは撮影スタッフを引き連れ、離れた場所で突っ立っている地球人を取材し始める。
「……」
慣れないインタビューにぎこちなく答える彼女を二人は遠くから見つめる。
「ビッグバッドボスは倒したけど、おねーさんの首輪は取れず終いだな」
「そんな!あの爆弾を解除する方法はきっと見つかるッス!まずはロボ工房に持ちかけるッスよ!アルなら」
「いや、急ぐこと無いさ。だっておねーさんは……これからロンバックスの居ない星に帰るんだから」
故郷の星と人々を救うという彼女の目的は果たされた。
「取り外すのは、地球の科学者にでも任せようぜ」
爆弾が取れようが取れまいが、そもそも一緒に居る必要が無くなってしまったのだ。
「おねーさんが助かったんなら、彼女を助けられたんだから…もう、それで良いかなって」
「ラチェット…」
「今ちゃんと話もできたしさ」
「……」
ラチェットは仲間から背を向けて反対方向へと歩き出す。
そしてそびえ立つレーザー砲に沿って空を見上げた。
「なあ、クランク…見てみろよ!」