ベルディン

「うわぁ…居過ぎじゃない?」

主人公よりも先に、大量のブラーグ・スリー達がこの辺境惑星ベルディンに集結していた。飛びながらパトロールに当たる者も居れば、地上にて気怠そうに待機している者、木箱を運んでいる者とそれぞれだ。

幸い、まだ誰もこちらに気付いていない。ラチェットとクランクの乗ったシップは轟音を立てて着陸したが、まだまだ増え続ける敵の戦艦に紛れていたため目立たなかった。

「奴らの警備が手薄い場所を探しながら進んで行くしかなさそうッス。弾薬はドレックとの闘いに温存しておきたいし、隠密行動を第一に……ラチェット?」

相棒はいつの間にかクランクの側を離れていた。

「それオイラのー!」

ブラーグ達はラチェットのガレージにも侵入し、長い間放置されていた部品や工具を無遠慮に漁っている。家主はそれが気に食わなかった。

今や重宝などしないクォークのポスターは彼らの暇潰しの餌食にされてしまったようで、黒いマジックで描かれた猿やらバナナやらに囲まれている。

「ラチェット!何やってるッスか!?」
「だってこいつらオイラの物盗ってこうとするんだぜ!」
「こんな時に何言ってるッスか!?バレちゃったッスよ!」

ラチェットの私物を漁っていたブラーグ・スリーよりも先に、周辺をうろついていた兵がこちらに向けて銃を構えた。

「マズイ…!」

しかし、撃たれたのはラチェットと工具箱を取り合っていたブラーグの方だった。

「え?あ、ラッキー!」

それだけではない。ラチェットの私物を漁っていた者や周りで突っ立っていた者が次々と銃撃により膝を突き始める。

「何?どうなってるの?」

ブラーグがブラーグを倒していっているのだ。よく観察すると、一部のブラーグは他の者に比べて迷いが無く、動作も素早い。

「仲間割れッスか?」
「そう。しかも、我々の方が裏切り者だ」

最初に銃を撃った者が数人のブラーグを従えて二人の前に着地した。その規則正しい整列には見覚えがある。

「なあ、もしかして、カレボⅢで会った…?」
「それは俺達の上司だ」

残念ながら、こちらからしたら上司も部下も見分けがつかない。

だが、彼等が敵ではないことはわかった。

「一緒に闘ってくれるの!?」
「いや。残念だが、俺達はボスへ向けて攻撃ができなよう仕組まれている。その分、決戦の地への誘導は任せろ。必ずビッグバッドボスを止めてくれ」
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