ベルディン軌道

「もぬけの殻だな」
「その方がやり易いッス」

クランクは旗艦の管制室にあるコンピューターをハッキングしにかかる。CEOのアドバイス通りそこには誰も居なく、ドレックがベルディンに飛んだ記録はすぐに見つかった。

「地球人、なんとかなりそう?」
「捕らわれた地球人全員を、生きたまま安全に地球へ送るシステムを構築したッス」
「そんなことできんの?」
「勿論ッス。地球に着いて冷蔵しっぱなしはマズイッスから、徐々に行動可能な状態へ戻す機能も付けておいたッス」

彼の説明が終わると同時に、旗艦周辺に待機していた貨物船の全てがゆっくりと動き出した。

「スゲー!」
「朝飯前ッス」

格好付けているクランクの手元で、小さなチップがカシャンと音を立てて溝から顔を出した。

「何か出てきたぜ」
「ああっそれは……実はCEOから預かっていたソフトを組み込んだだけッス」
「何だよ」

ラチェットは少しだけ肩を落とした。

「それに、地球人“全員”じゃない」
「確かに。我々にはまだ、もう一仕事残っているッスね」

主人公は寄って来たインフォボットの手を取り、大きな窓越しに最初で最後の惑星を見つめる。

「ビッグバッドボスを止める。そして、おねーさんを助け出す!」
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