ベルディン軌道
赤いジェット機は通り過ぎざまに砲台を着々と破壊していく。今はレーザー弾が届かない位置まで一旦距離をとり、まとわりついてくる小型戦闘機を掃除中だ。
「ラチェットー!クランクー!頑張れぇー!」
「黙れ人間!叫んでも奴らに聞こえる訳ねえだろ!」
「うるさい!気合いの問題なの!さっさとレバー寄越せ!あ、またこっちに来る!……あれ?」
やかましい邪魔者が何かに気を取られた隙にやっと操縦レバーを取り返し、ブラーグは操縦席で座り直し一息付く。そして異変に気付いた。
標的が、まるであらかじめ張られたワイヤーを伝うようにこちらへ一直線に向かってきているのだ。
「ちょっ、来てる来てる狙われてる!何とかしてよ、ここの担当でしょ!?」
「何とかって、あの子達には当たっちゃいけねえんじゃねえのかよ!?」
「当てちゃだめー!」
また地味な争奪戦に突入。そうこうしている内にジェットファイターが間近に迫っていた。
「うわぁー!!」
「ぎゃー!!」
死を確信したが、ラチェットは周りの砲台を攻撃していった。
その後も何度か折り返してきたが、二人が乗っている砲台だけは撃たれずに済んだ。盗まれたジェット機は真上を通り過ぎ、砲台内をビリビリと震動させるだけに終わる。
「クソッ、他の砲台が全部やられた!やられる前に、次でしとめるしか…」
「しとめちゃ駄目!」
「ならお前も砲台諸共、木っ端微塵だな」
「……上等」
ここは内側からは開けられないから、攻撃されると知っていても逃げることはできない。一方で、この砲台がある限りヒーローは先へ進めない。
ならば、壊すしかない。
「……」
ついさっきは情けない悲鳴を上げてしまったが、覚悟はできた。
自分が居なくなっても、地球は、宇宙は、彼らが何とかしてくれるだろう。
「フン、地球人の癖に肝が据わってやがる」
「……」
「……」
「……」
「……来ねえ」
こちらを狙っている筈のジェットファイターは姿を現さない。
「何だ?見落とされでもしたか?」
「…まさか、関係ないところで事故ったんじゃ…!」
「ハハ、そうだったらラッキーだな」
そんな心配は要らなかった。しばらくすると、ラチェットとクランクが生身で砲台の射程内に現れたのだ。マグネブーツを履いてでしか通れない道のお陰で、標的の動きは非常に鈍い。
「チャンス!葬ってやる、このガキめガッ!?」
「…ふー…よっと」
そこら辺にあった何かの計器を投げ捨てる。本来の使い方はわからないが、全く凹まない辺り凶器としてはバッチリだ。
「最初からこうすれば良かった」
ラチェットとクランクは無事宇宙空間を通り過ぎていった。
彼らはなかなかのペースで進んできている。砲台内の粗末なモニター越しではあるが、元気そうな様子も確認できた。しかも、ビッグバッドはまだこの旗艦に残っている。
「あの子達……もしかしたら、追いついちゃうかも!」
勝気を感じた瞬間、背後の扉が乱暴に開かれた。
「ラチェットー!クランクー!頑張れぇー!」
「黙れ人間!叫んでも奴らに聞こえる訳ねえだろ!」
「うるさい!気合いの問題なの!さっさとレバー寄越せ!あ、またこっちに来る!……あれ?」
やかましい邪魔者が何かに気を取られた隙にやっと操縦レバーを取り返し、ブラーグは操縦席で座り直し一息付く。そして異変に気付いた。
標的が、まるであらかじめ張られたワイヤーを伝うようにこちらへ一直線に向かってきているのだ。
「ちょっ、来てる来てる狙われてる!何とかしてよ、ここの担当でしょ!?」
「何とかって、あの子達には当たっちゃいけねえんじゃねえのかよ!?」
「当てちゃだめー!」
また地味な争奪戦に突入。そうこうしている内にジェットファイターが間近に迫っていた。
「うわぁー!!」
「ぎゃー!!」
死を確信したが、ラチェットは周りの砲台を攻撃していった。
その後も何度か折り返してきたが、二人が乗っている砲台だけは撃たれずに済んだ。盗まれたジェット機は真上を通り過ぎ、砲台内をビリビリと震動させるだけに終わる。
「クソッ、他の砲台が全部やられた!やられる前に、次でしとめるしか…」
「しとめちゃ駄目!」
「ならお前も砲台諸共、木っ端微塵だな」
「……上等」
ここは内側からは開けられないから、攻撃されると知っていても逃げることはできない。一方で、この砲台がある限りヒーローは先へ進めない。
ならば、壊すしかない。
「……」
ついさっきは情けない悲鳴を上げてしまったが、覚悟はできた。
自分が居なくなっても、地球は、宇宙は、彼らが何とかしてくれるだろう。
「フン、地球人の癖に肝が据わってやがる」
「……」
「……」
「……」
「……来ねえ」
こちらを狙っている筈のジェットファイターは姿を現さない。
「何だ?見落とされでもしたか?」
「…まさか、関係ないところで事故ったんじゃ…!」
「ハハ、そうだったらラッキーだな」
そんな心配は要らなかった。しばらくすると、ラチェットとクランクが生身で砲台の射程内に現れたのだ。マグネブーツを履いてでしか通れない道のお陰で、標的の動きは非常に鈍い。
「チャンス!葬ってやる、このガキめガッ!?」
「…ふー…よっと」
そこら辺にあった何かの計器を投げ捨てる。本来の使い方はわからないが、全く凹まない辺り凶器としてはバッチリだ。
「最初からこうすれば良かった」
ラチェットとクランクは無事宇宙空間を通り過ぎていった。
彼らはなかなかのペースで進んできている。砲台内の粗末なモニター越しではあるが、元気そうな様子も確認できた。しかも、ビッグバッドはまだこの旗艦に残っている。
「あの子達……もしかしたら、追いついちゃうかも!」
勝気を感じた瞬間、背後の扉が乱暴に開かれた。