ベルディン軌道

ほんの数秒、間をおいて侵入者はまた同じ貨物船へと戻ってきた。

「危なかったぁ~」

もう危険は去った。撤退する直前、こちらの船にジラインを大量に残してきていたからだ。残骸として、監視ロボット二十数台分のボルトがそこら中に散らばっている。

「CEOから聞いてた話と違うのは、敵の数も例外ではないッスね」

多くてもせいぜい一フロアに四台程度じゃろ。彼はそんなことを言っていたが、全くの的外れであった。

近付くとゲートが自動で開く各個室の中には、やはり見たことのあるコンテナが積まれている。

「多数の生体反応ありッス。BBステーションで見つけた地球人と同じ状態ッスね」
「こっちのも生きてる?クランク、確認してくれよ」
「ラチェット、そっちは…!」

迂闊にも彼が踏み込んだ部屋は別のフロア。監視ロボが一斉にこちらを視認し、各々の緑色のランプを赤く染め上げる。

「やばっ、見つかっちゃった!ええとコレじゃなくて…!」

警報が鳴り響く中、焦るラチェットはホログラマーを手に取ってしまう。このガラメカは、一旦正体がバレてしまえばもう効力を発揮しない。

「シールドッス、ラチェット!」
「わ、わかってるよ!そらっ!」

ボムシールドを出し、一つ前のフロアまで何とか無傷で退却。しばらく待っていると、例によって警報は止んだ。

「あの攻撃、地味に痛いんだよな~」
「次からは気をつけるッスよ」
「はいはいっと」

ホログラマーで姿を変え再びゲートをくぐる。敵が攻めてきたばかりだというのに、ロボット達は何事もなかったかのように規則正しい動きを繰り返していた。
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