カルトゥ 2回目
二人は見事潜入に成功した。目的地であるロボット製造工場の搬出口に到達し、クランクは緑がかったモニターと会話中。
「ママァン!」
「そうきたか」
画面には《あなたはよくやっています》の文字が打ち出される。
「頑張ってるッス!」
が、急にノイズが走り、ロボット製造メインシステムはクランクとの会話を断った。
「どうしたッスか…?」
《侵入者を直ちに排除せよ》
実の息子を突き放すようにそれだけ表示され、警報が鳴り響き部屋中が真っ赤に染まった。
「マ、ママン!?何故!?」
「もしかしてコレ、ヤバい感じ…?」
が、それも途端に止み、再度画面が砂嵐で一杯になる。
「なあ。クランクの母ちゃんって、熱し易く冷め易い人?」
「ラチェット、気を付けるッス。罠かもしれないッス」
「ビッグバッドボスにおびき寄せられたってこと?工場のこんな真ん中で戦えっての!?」
緊張の最中、先程迄は文字だけしか出力されていなかったモニターに意外な人物が映し出された。
『ヤッホー!久しぶりだね君達』
白衣を着た、細身の眼鏡男子だ。
「アル!ダイエット成功したの?」
「ボブッスよ、ラチェット」
クランクは極めて冷静に突っ込んだ。
『あれれ?スピーカーの調子が……これで良し。ハーイ喋って良いよー』
どうやらラチェットの失言は届いていなかったようだ。
「久しぶり、あー…」
助け船が欲しくて相棒へ視線を送る。
「ボブ」
「ボブ!えっと、こないだはありがと」
「何故ここに?ポクタルから工房を移転したッスか?」
『今回は特別出張さ。しかも長期のね』
以前、アルからの呼び出しを近場のポクタルに工房を構えているボブで済ませようとした際、彼が不在だった理由がようやく判明した。
『ちょっと待ってて。安くて早くて上手いボクにかかれば、こんな単純なシステムあっという間に書き換えちゃうもーん』
画面の向こう側でキーボードを叩いているのか、目線がやや下に外れている。話し声の調子は依然、高いままだ。
「でも…何で来てくれたの?」
『スキッドのマネージャーに言われたんだよ。彼突然ボクの工房に来て言ったんだ、ボクの頭脳ならビッグバッドボスに対抗できるから来てほしいってさ』
ボブは手を止めずにすらすらと答える。
「ご協力感謝するッス。しかし、専門はメカ加工では?」
『そう、だから勉強したんだよ。ヒーローの手助けがしたくてね。ボク手際が良いから、プログラミングなんかすーぐマスターしちゃったぁー』
目の前の天才は悪気も謙遜も無さそうにさらっと自慢を差し込んだ。
『聞いたよ君達、アルばっかに頼ってんだろ?ボクは安くしとくけど、あいつは高くついたんじゃない?』
「クランクのバグを防いでくれたんだ、安いもんだよ」
一回目にこの地へ降り立った際、クランクの挙動がどこかおかしかった。が、今はもう何ともない。工学系兄弟様々だ。
『あ、そーだ。アルがさ、君達に工房に来てほしいって』
「えぇー、またなの~?」
『これで最後だーって言ってたよー。よーし、修正終わり!じゃ、再起動するね』
「ママァン!」
「そうきたか」
画面には《あなたはよくやっています》の文字が打ち出される。
「頑張ってるッス!」
が、急にノイズが走り、ロボット製造メインシステムはクランクとの会話を断った。
「どうしたッスか…?」
《侵入者を直ちに排除せよ》
実の息子を突き放すようにそれだけ表示され、警報が鳴り響き部屋中が真っ赤に染まった。
「マ、ママン!?何故!?」
「もしかしてコレ、ヤバい感じ…?」
が、それも途端に止み、再度画面が砂嵐で一杯になる。
「なあ。クランクの母ちゃんって、熱し易く冷め易い人?」
「ラチェット、気を付けるッス。罠かもしれないッス」
「ビッグバッドボスにおびき寄せられたってこと?工場のこんな真ん中で戦えっての!?」
緊張の最中、先程迄は文字だけしか出力されていなかったモニターに意外な人物が映し出された。
『ヤッホー!久しぶりだね君達』
白衣を着た、細身の眼鏡男子だ。
「アル!ダイエット成功したの?」
「ボブッスよ、ラチェット」
クランクは極めて冷静に突っ込んだ。
『あれれ?スピーカーの調子が……これで良し。ハーイ喋って良いよー』
どうやらラチェットの失言は届いていなかったようだ。
「久しぶり、あー…」
助け船が欲しくて相棒へ視線を送る。
「ボブ」
「ボブ!えっと、こないだはありがと」
「何故ここに?ポクタルから工房を移転したッスか?」
『今回は特別出張さ。しかも長期のね』
以前、アルからの呼び出しを近場のポクタルに工房を構えているボブで済ませようとした際、彼が不在だった理由がようやく判明した。
『ちょっと待ってて。安くて早くて上手いボクにかかれば、こんな単純なシステムあっという間に書き換えちゃうもーん』
画面の向こう側でキーボードを叩いているのか、目線がやや下に外れている。話し声の調子は依然、高いままだ。
「でも…何で来てくれたの?」
『スキッドのマネージャーに言われたんだよ。彼突然ボクの工房に来て言ったんだ、ボクの頭脳ならビッグバッドボスに対抗できるから来てほしいってさ』
ボブは手を止めずにすらすらと答える。
「ご協力感謝するッス。しかし、専門はメカ加工では?」
『そう、だから勉強したんだよ。ヒーローの手助けがしたくてね。ボク手際が良いから、プログラミングなんかすーぐマスターしちゃったぁー』
目の前の天才は悪気も謙遜も無さそうにさらっと自慢を差し込んだ。
『聞いたよ君達、アルばっかに頼ってんだろ?ボクは安くしとくけど、あいつは高くついたんじゃない?』
「クランクのバグを防いでくれたんだ、安いもんだよ」
一回目にこの地へ降り立った際、クランクの挙動がどこかおかしかった。が、今はもう何ともない。工学系兄弟様々だ。
『あ、そーだ。アルがさ、君達に工房に来てほしいって』
「えぇー、またなの~?」
『これで最後だーって言ってたよー。よーし、修正終わり!じゃ、再起動するね』