カルトゥ 2回目

『なぁ、あの落ちてきてるの何?』

ラチェットは監視ロボット達の目が届かない位置で変身を解いた。向こうの足場へは壁にぶら下がって移動するしか無さそうだ。

行く手を邪魔するかのように、何かを詰めた容器が間隔を置いて落下してきている。中身はオークソンの陸地以外を占めている液体と同じ、緑色。

「廃棄物質を圧縮したカプセルッス。ああやって、大量に排出されるゴミを最小限に抑えているッスよ」
「抑えても…結局捨ててんじゃん。意味あるの?」

ベルトコンベアに乗ったそれらは次々と流され、奈落の底へと投棄されていく。

「恐らく、ビッグバッドボスによるブラーグ達へ向けた見せかけの政策ッス。やれるだけのことはやったという、リーダーとしての誠意を示しているッスよ」
「誠意でも何でもないよそんなの」

投棄したらしっぱなし。ブラーグ達にとっては根本の解決になっていない。こんなことを続けていれば、この星もいずれはどこぞの猛毒惑星の二の舞となってしまうだろう。

無事渡りきったラチェットは縁から両手を離し次の足場に着地した。

「それにもっととんでもないこと進めてんじゃん!」

ドレックは移住する新惑星製作のために他の星から欲しい部分だけ切り取るという、大胆且つ無遠慮な計画を遂行している。

何よりラチェットが気がかりなのは、故郷の星ベルディンが破壊されてしまうということ。“とんでもない”を強調し声を荒げたためロボットが一台こちらに近付いてきたが、ホログラマーで容易く誤魔化す。

『とんでもないと言っても、惑星移住計画も表向きには“ブラーグ族が生きるため”という良案として周知されているッス』
『そんな嘘でも、おバカなブラーグは信じちゃってるし』

カレボⅢのガラクトロン本社内で出会った、知能指数の高いブラーグ・スリーという例外はある。彼等が頼もしいことには変わりないが、結局のところ、真実を知らないまま悪党の命令に従うブラーグが大多数だ。

『ビッグバッドボスを倒せば、この星も変わることができるッスよ』

ここカルトゥはクランクの生まれ故郷。彼にとって大切な地でもある。彼も言い方にやや熱が入ったが、その声はラチェットだけに届いた。
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