カレボⅢ

「ちなみに、地球人って美味しいの?」
「主食ッスか?」

二人は素朴な疑問を投げかけた。一緒に冒険してきた仲間と同じ種族を食べるなんて想像したことも無かった。どんな味がするんだろうか。

「地球人は栄養豊富且つ希少な食材だ。数が大分増えた今でも乱獲は禁止されていて、我々ブラーグの間では高値で取引されている。それだけ美味なのだ」

列の中心に立っている頭の良さそうなブラーグは続ける。

「ドレックの計画において功績を残した者は新惑星開発担当に選ばれ、そこで地球人の食べ放題が約束されている」

横で話を聞いているCEOは思わず顔をしわくちゃにした。

「BBステーションで見つけた冷蔵コンテナは、そのためのものだったッスね」
「そーだ、あの地球人達も助けなきゃ!」

早くドレックの計画を止めなければ、地球人の数はどんどん減っていってしまう。

「ねえさんも心配ッス」
「ああ。うっかり食べられてなけりゃ良いけど…」

ラチェットとクランクが焦る一方で、味方のブラーグ達はどこか口惜しそうに打ち明け始める。

「こんな事態だからお前達に協力するが……あれを口にできないのは正直残念だ」
「あんな柔らかい肉にありつけるのは一生に一度か二度…」
「俺は歯応えのある個体の方が…」
「もうその話は良いじゃろ!」

CEOは遂に耐えられなくなった。自分のすぐ側で下手物の話で盛り上がられるなんて最悪の気分だ。

「で、地球人は今どこに保管されておる?」

この隊のリーダーらしきブラーグが一呼吸おいて質問に答える。

「スペースシップBB艦隊だ」
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