カレボⅢ

空を覆い尽くす程のブラーグ・スリーによる銃撃をやっとのことでかい潜り、半透明の丈夫な建物に滑り込んだラチェットとクランクは一安心。

「ヒャーッ、今のは危なかったッス」
「多過ぎでしょアレ」

ここカレボⅢで飛び交っている筈の車は一台も見られない。外はブラーグ達にすっかり支配されているのだ。

「まあ、いくら多くてもでくの坊には変わんないけどね」
「あー、ラチェット。あのブラーグはでくの坊にしちゃ賢そうッスよ」

数こそ多いが、ほとんどの兵はこちらを認識しない限り攻撃してこない。しかも大分視力が悪そうだ。

だが一部のブラーグは視力も判断力も他とは明らかに違い、先程は逃げるラチェットの動きを予測して確実に攻撃を当てにきていた。今も、バリアの仕組みに気付いた数体がドーム内へ侵入してくる。

「ランチャーも残り少ないってのに!」

ただ、彼らも反則級に強い武器の前では手も足も出なかった。

時間差で入り口のバリアが復旧し、今度こそ建物内が安全地帯となる。

前の星でスキッドから貰ったランチャーNo.8の弾は、もしもの時のためになるべく温存しておきたい。が、そのもしもの時が来る前に一発使ってしまった。

ガラクトロン本社内にも関わらず、ドーム中央に鎮座するガラクトロンショップも例外無く閉じている。

「ここでも買えないの?」
「弾薬を補充できないとなると、この先へ進むには厳しいッス」

道は二手。クランクが目を向けた方には来た道と同じくブラーグ・スリーがうじゃうじゃ漂っていて、銃を片手に標的が顔を出すのを露骨に待ち構えている。

引き続き回復は無限にできるため死ぬことはないが、飛び込めば足止めを食らい袋叩きに遭うこと間違い無しだ。

「仕方ない、こっち行ってみよう。たしか…」

二人は反対方向を向く。地図上にはレールを辿った先に小さな建物らしきスペースがある。その位置の詳細情報を開くと、ラチェットは声を張り目を輝かせた。

「ヘルプデスクのお姉さんが居るんだって!どんな人なんだろう…!」
「興味無いッスね」
「おねーさんより美人かな?」

クランクは片手を自分の額辺りに当てて俯いた。

「ラチェット。そもそもワタシ達はそれどころじゃないッスよ」
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