カルトゥ 1回目
「ラチェット!もっと急ぐッス!」
「わかってるってば!うわあっ!」
ラチェットとクランクは、闘技場の入り口前を通り過ぎてからウルトラメック、戦闘用ヘリ、ブラーグ・スリー、電撃ビームを扱う警備ロボット、噛みついてくる小型ロボット達に追われていた。放たれる無数のミサイルを紙一重でかわしつつ、たまに攻撃を食らってもナノテック携帯で回復しながら走り続ける。
「クランクこそ、もっとスピード出してよ!」
「ブースター出力はこれが限界ッス!」
「このままじゃ追いつかれちゃう~!」
心強い回復アイテムがあるため、万一追いつかれても死ぬことはないだろう。しかし、だからと言って自ら袋叩きにされる道を選ぶなんて真っ平御免だ。
立て篭もれるスペースを見つけ、ラチェットはひとまず滑り込んだ。続いて入り込んでくる小柄なロボット達をランチャーNo.8で撃破。最後の弾だ。
「間一髪だったッスね…」
「でも……はぁー、これからどうしよ…」
バズーカも置き爆弾も身代わりも、ここに来るまでの間に全て使い切ってしまっていた。ウルトラメックにはまさかオムレンチなんて通用しないし、やっと一台倒したとしてもその内に次から次へと奴らは襲いかかってくるだろう。
入って来れない大きさの敵が一時避難所を外からガンガン叩く音が響く。打つ手は無いし、後戻りもできない。
「ショップ、ここにも見当たらないもんな……ん?」
疲弊しきった彼らの行く先には、白衣をまとった小さな哺乳類がぽつんと突っ立っていた。彼は背を向け、巨大な円形の台の前で何やらぶつぶつ呟いている。
「生きるべきか死すべきか…なーんちゃって。待ってたよ。君達だね、これが欲しいっていうヒーローさんは」
髭を蓄えた研究員はロボット巨大化マシーンの前から退かず、インフォボットを初対面の来訪者に渡す。
「はい、どーぞ」
「えっと…ありがと。でも、何でオイラ達のこと…」
「オレさ」
背後の壁に寄り掛かっている男が代わりに答えた。
「オレが教えてやったのさ…なーんつってな」
「スキッド!」
友との久々の再会にラチェットは元気を取り戻し、片手同士でハイタッチを交わす。
「よぉボウズ。相変わらず元気そうだな!」
「そうだ、スキッド……おねーさんのことなんだけど…」
「皆まで言うな」
スキッドは目を閉じて手の平を突き出し、耳を垂らしたラチェットの言葉を遮った。
「大変な時だが、オレ達に今できることをやるしかねぇ。そうだろ?」
「…知ってるの?」
「ああ、大体はな。そこの装置を使えば外のウルトラメックを全部破壊できるコトも、それを邪魔しようとするヤツが居るってコトもな。オレの情報網をナメてもらっちゃ困るゼ」
「その情報網とやらに助けられたよ」
放っておかれていた研究員が二人の会話に加わる。
「もしこの人がロボット巨大化マッシーンのプログラム改変のことを教えに来てくれてなかったら、僕は知らずに君達を滅ぼしていたとこだった。その映像データも渡せなかっただろうしね」
三人の輪の外でクランクにじゃれついていたインフォボットは、話が終わるまで彼の胴体に収納されてしまった。
ラチェットは再度スキッドに目を向ける。
「プログラム…?よくわかんないけど、それも情報網で?」
「情報網っつーより、ビッグバッドならきっとこうするだろって思ったからサ」
そう言うと彼は少し自慢げに鼻の下を指でこすった。そのまま辺りを見回しながら緑色の有名人は話を続ける。
「この辺には無ェんだけどよ、カルトゥってのは監視カメラだらけだな。誰にも見つからずにココまで来るのは大変だったゼ。まあ、正面突破のボウズ達には関係無かっただろうケドよ」
「そのことなんだけどさ、スキッド。関係あるんだ…オイラ達にも」
言い辛そうにしているが、ラチェットの耳は垂れていない。
「もし、これからも協力してくれるんなら……これ預かっててほしいんだ」
彼の隣に立つクランクが己の胴体からトランシーバーを取り出した。スキッドは受け取ったそれを耳に当てる。
「こりゃあ……ヘェ」
「ビッグバッドボスにマークされていないスキッドなら、きっと我々より上手に活用できるッスよ」
「何とかやってみるゼ。そっちのはくれねぇのかい?」
敵から逃れ、安全を確保しても尚光り続けるポケットを指さされる。
「一度返した物を強請るなよ」
「わかってるってば!うわあっ!」
ラチェットとクランクは、闘技場の入り口前を通り過ぎてからウルトラメック、戦闘用ヘリ、ブラーグ・スリー、電撃ビームを扱う警備ロボット、噛みついてくる小型ロボット達に追われていた。放たれる無数のミサイルを紙一重でかわしつつ、たまに攻撃を食らってもナノテック携帯で回復しながら走り続ける。
「クランクこそ、もっとスピード出してよ!」
「ブースター出力はこれが限界ッス!」
「このままじゃ追いつかれちゃう~!」
心強い回復アイテムがあるため、万一追いつかれても死ぬことはないだろう。しかし、だからと言って自ら袋叩きにされる道を選ぶなんて真っ平御免だ。
立て篭もれるスペースを見つけ、ラチェットはひとまず滑り込んだ。続いて入り込んでくる小柄なロボット達をランチャーNo.8で撃破。最後の弾だ。
「間一髪だったッスね…」
「でも……はぁー、これからどうしよ…」
バズーカも置き爆弾も身代わりも、ここに来るまでの間に全て使い切ってしまっていた。ウルトラメックにはまさかオムレンチなんて通用しないし、やっと一台倒したとしてもその内に次から次へと奴らは襲いかかってくるだろう。
入って来れない大きさの敵が一時避難所を外からガンガン叩く音が響く。打つ手は無いし、後戻りもできない。
「ショップ、ここにも見当たらないもんな……ん?」
疲弊しきった彼らの行く先には、白衣をまとった小さな哺乳類がぽつんと突っ立っていた。彼は背を向け、巨大な円形の台の前で何やらぶつぶつ呟いている。
「生きるべきか死すべきか…なーんちゃって。待ってたよ。君達だね、これが欲しいっていうヒーローさんは」
髭を蓄えた研究員はロボット巨大化マシーンの前から退かず、インフォボットを初対面の来訪者に渡す。
「はい、どーぞ」
「えっと…ありがと。でも、何でオイラ達のこと…」
「オレさ」
背後の壁に寄り掛かっている男が代わりに答えた。
「オレが教えてやったのさ…なーんつってな」
「スキッド!」
友との久々の再会にラチェットは元気を取り戻し、片手同士でハイタッチを交わす。
「よぉボウズ。相変わらず元気そうだな!」
「そうだ、スキッド……おねーさんのことなんだけど…」
「皆まで言うな」
スキッドは目を閉じて手の平を突き出し、耳を垂らしたラチェットの言葉を遮った。
「大変な時だが、オレ達に今できることをやるしかねぇ。そうだろ?」
「…知ってるの?」
「ああ、大体はな。そこの装置を使えば外のウルトラメックを全部破壊できるコトも、それを邪魔しようとするヤツが居るってコトもな。オレの情報網をナメてもらっちゃ困るゼ」
「その情報網とやらに助けられたよ」
放っておかれていた研究員が二人の会話に加わる。
「もしこの人がロボット巨大化マッシーンのプログラム改変のことを教えに来てくれてなかったら、僕は知らずに君達を滅ぼしていたとこだった。その映像データも渡せなかっただろうしね」
三人の輪の外でクランクにじゃれついていたインフォボットは、話が終わるまで彼の胴体に収納されてしまった。
ラチェットは再度スキッドに目を向ける。
「プログラム…?よくわかんないけど、それも情報網で?」
「情報網っつーより、ビッグバッドならきっとこうするだろって思ったからサ」
そう言うと彼は少し自慢げに鼻の下を指でこすった。そのまま辺りを見回しながら緑色の有名人は話を続ける。
「この辺には無ェんだけどよ、カルトゥってのは監視カメラだらけだな。誰にも見つからずにココまで来るのは大変だったゼ。まあ、正面突破のボウズ達には関係無かっただろうケドよ」
「そのことなんだけどさ、スキッド。関係あるんだ…オイラ達にも」
言い辛そうにしているが、ラチェットの耳は垂れていない。
「もし、これからも協力してくれるんなら……これ預かっててほしいんだ」
彼の隣に立つクランクが己の胴体からトランシーバーを取り出した。スキッドは受け取ったそれを耳に当てる。
「こりゃあ……ヘェ」
「ビッグバッドボスにマークされていないスキッドなら、きっと我々より上手に活用できるッスよ」
「何とかやってみるゼ。そっちのはくれねぇのかい?」
敵から逃れ、安全を確保しても尚光り続けるポケットを指さされる。
「一度返した物を強請るなよ」