カルトゥ 1回目

カルトゥの監視カメラを通してスペースシップBB管制モニターに映し出されたのは、突然の事態に戸惑うラチェットとクランクではなく、いつものように敵を倒しながら順調に探索している彼らだった。

「何故奴のブースターが故障しない!?それに、何だあのガラメカの数は?ガラクトロンショップは全て閉鎖済みじゃなかったのか!?」

ドレックは握り拳を手元の低い台へ叩きつけた。

「おい!ぼーっと突っ立っていないで、さっさとガラクトロン社に確認をとれ!」

先程の会話を聞く限りでは、アルはこのマヨネーズ頭がカルトゥに仕掛けた罠に気付き、ラチェット達を呼び出していたらしい。

「…何でアルが?」

だが、ラボに篭もりきりのあのヲタクのことだ。いくらロボット工場と言えど、こんなにも遠く離れた星の事情に関心があるとは思えない。あったとしても、どこからその情報を収集したのか?

「もしかして…」

彼とはまた違う何者かが、カルトゥの罠をアルに教えた。その者がどうにかしてドレックの作戦を予測し、先回りした。しかもラチェットとクランクの味方として。

だったら、カルトゥ探索のスムーズな駆け出しに合点がいく。

「……」

自分の力の及ばないところで、流れが良い方向へ変わってきている。そう直感した。

心の中でガッツポーズを決める人質を余所に、白衣を着たブラーグが怒れるボスをなだめに入る。

「ドレック様、どど、どうか落ち着いてください…!」
「ああ落ち着いてるさ。貴様がこんなヘマをしなかったらの話だがな!」
「ひいぃっ!」
「ちょい!私を盾にしないで!」

妨害電波開発に携わったインテリメガネの握力は意外と強い。

「盾っつーかチャンスならまだあんたにあるでしょうが!放して!」
「そうだったな。ロボット巨大化マシーンのプログラム改変の方はどうなっている?」
「は、はい!そちらは既に書き換えが完了致しました」
「マシーン開発担当者は?」
「即座に辞めさせ、故郷へ帰還させました。私以外にプログラムを修正できる者は居ません。よって、クランクが巨大化することは絶対にあり得ません。どうかご安心ください」

説明していく内に研究員は冷静を取り戻し、上司の機嫌もすっかり良くなった。

「よろしい。奴らは今頃ウルトラメックの餌食になっているだろう。映し出せ」
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