オルタニス

荒天惑星オルタニスを探索中のラチェットは小さな出店を見つけた。高層ビルの屋上はほとんど凍り付き、冷たい強風が吹きつける過酷な環境の中、緑色のぴっちりスーツのみの店員は平気な顔をして突っ立っている。

「クォーク!こんなところで何してんだよ?」
「ハッハッハ、クォーク?誰のことだいそれは?今の僕はスティーブだから。初めまして!」
「とぼけん」
「そーんなことより、新作ガラメカ揃ってるよ」

かつての仇からの指摘をあっさり流すと、クォークのそっくりさんはその場で屈み何やらごそごそと準備を始めた。

「あ~たしか、ガラクトロンPDmAだろ?割高なんだよなーって、前におねーさんが言ってた……ねえ待って」

相変わらずこの男は話を聞いてくれないしこの後の展開も大体予想できている。うんざりしていた様子だったが、ラチェットは表情を変えた。

「“揃ってる”?」

商品がパーソナル出前アシスタント装置一つだけならば、そんな言い方はしない。

「ああそうさ。ラチェット限定で販売しろって、チーフから直々に連絡があったんだよ。お宅、特別会員か何か?」

そう言いながら店員は商品を次々と棚の上に陳列していった。

出てきたガラメカは弾薬の注文ができる装置ではなく、ビデオミサイルやサンダークロウといった、ゲーム通りに行けばガラクトロンショップより購入できた筈の武器達。それら全てが今、主人公の目の前に揃っている。

「どれでもお好きなガラメカをどうぞー!」
「わぁスッゲー!…ちょっとくらい無駄遣いしても、クランク怒らないよな?」

ショップが機能しなくなってから使い所を無くしていたボルトは、これら全てに注ぎ込んでも余裕でお釣りが返ってくる程貯まっている。武器が増えるならば、怒るどころか一緒に喜んでくれるだろう。
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