ホーベン

スペースシップBBが宇宙ステーションに到着する頃、ラチェットとクランクは極寒惑星のとある工房を訪れていた。

「ねえさんが言ってたッス。あそこに見えるロボ工房で、ワタシ用のアタッチメントを増やしてもらえるッス。ヘリブースター、ジェットブースター、あと一つは何だと思うッスか?」
「その人の話題は出すなよ。買えばわかるだろ」

一緒に冒険してきていた地球人を助けるか否かは別として、二人はとりあえずビッグバッドボスの足取りを追い続けている。

「いらっしゃい、まあっ可愛いロボットさん!……と、貴方…どうしたの?」
「え?」

カウンターの向こう側に居る大のロボ好きはロンバックスにもちゃんと声を掛ける。

「眉間にシワ、寄ってるわよ。徹夜でもした?」
「……してない」

ラチェットはますます眉をひそめた。

「あらそう。ねえ貴方達、ラチェットとクランクよね?」
「そうだけど…何?」
「私の同業者なんだけど、Mr.アルって知ってる?貴方達に工房へ来るよう伝言を頼まれてたのよ」
「えー、行くの面倒臭いなあ。こっから遠いし。ボブんトコじゃ駄目なの?」

腕組みをして耳を垂れ下げたラチェットは不満気に提案した。

つい最近訪れた惑星ポクタルに工房を構えているMr.ボブは、ふとっちょアルの兄弟だ。ラチェットからすればどちらもロボヲタクには変わりない。

「彼は大事な用があって工房を空けているわ。それより貴方、可愛い上にモテモテなのね、ウフフ」

エドウィーナはカウンターに立つクランクをまたうっとりと眺め始めた。

「Mr.アルのロボ工房があるのは大都市惑星ケルバンッスね」
「まあ、よく知ってるのね!」
「ワタシにヘリブースターを取り付けたのは他ならぬ彼ッス。貴女のためにも、今すぐ向かうッス!」
「勝手に決めるなよー」
2/3ページ