ポクタル

「君達~、ちょっと待つね~!」

観光客の一匹と一体は彼らが乗ってきた船に丁度乗り込むところだった。

「はぁ、まだ何かある訳?」
「渡さなきゃいけないと思って…!」

ポケットから手の平に収まる程の小さな機器を取り出した。価値はわからないが少しでも資金の足しになると思い、こっそり拾っておいた物だ。

「あの子、これをビーチチェアの下に隠して行ったヨ」

形がやや崩れていて中身の金属が剥き出しになっている。

「ねえさんの携帯ッス!」
「すぐバレてブラーグに踏み潰されちゃったけど、きっと君達に託したくて残していったんだねー」
「やっぱり何かあったッスよ!」

ロボットの方がはしゃぎだした。かなり大切な物だったらしい。

「せっかくだけど要らないよ、そんなの」

動物の方は腕を組んでそっぽを向くが、ロボットは両手をこちらに差し出してきた。そこに優しく乗せてやる。

「ありがとうッス」
「ボクから渡されたってことは内緒ね!」
「?…ウィッス」
12/13ページ