恩人且つ客人が戻ってきたらすぐ豪華なジュースを提供するために、観光地のオーナーは厨房にて鼻歌を歌いながら準備に取りかかっていた。グラスを覆ってしまう程盛り付けるフルーツの下準備を済ませ、冷蔵庫を開ける。

「ううう、できるだけ早く戻ってきてほしいねー…」

本音を言ってしまえば、あの黄色ともピンクとも言い難い肌をした生物と二人きりで居たくはない。異星人には様々な種族が存在するが、中でも地球人は生理的に受け付けないのだ。

それは自分に限ったことではない。

昔、観光客との雑談で知り得た知識だが、自分の種族だけでなくこの銀河中の生き物は地球人を本能的に嫌悪していて、余程の事がない限り地球には近付かないらしい。あんな生物を口にできるブラーグの気が知れないと皆で笑い飛ばしていたのも覚えている。

だが、彼女は久しぶりの観光客だ。しかも、ここの汚染問題を解決してくれる者の仲間でもある。

腐っても客だ、丁重に持て成さなければ。

「エヘェ、完成！」

最後にストローを差しジュースを持って外に出ようとした瞬間、建物のドアが蹴破られ長身のブラーグが何体も入ってきた。

「エ、エヘヘ……お客さんじゃあ、ないよね…」
「来い」
「うわぁっ！」

問答無用で腕を引っ張られ、商売熱心な彼はジュースの入ったグラスを取り落としてしまった。