外廊下から船内に入ろうとした瞬間、バロン・ジモが何かに気付いたかのように勢い良く振り返った。まさかと思いフェンスに手を突き空を見上げると、丸くないフォルムの飛行物体が目に入った。

「…！」

轟音と共に、船の上ギリギリを黄色い飛行機が通り過ぎる。あれはスターク社のジェット機だ。

「来たか、ロールシャッハ…！」

奴は強力な仲間を引き連れて来やがった。しかも、よりにもよってアベンジャーズだ。

ロゼッタのわめき声に続いて、何かが甲板に着地する音がした。この振動の大きさはハルクだろう。あのヒーローは、本気を出せばこちらの手持ちヴィランが束になっても適わない厄介な野郎だ。

「行け、バロン・ジモ。加勢してこい」
「だが、お前が…」
「俺にはこれがある」

鞘に入った長ドスを見せつけると納得したようで、相棒のヴィランはデッキに向かった。