番外編9:都合の悪い俺ちゃん
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夢主の機嫌など知る由もないクリスは、全く別の意味でこの状況に焦っていた。
「今それどころじゃねぇんだ、あっち行ってろ!」
せっかく人目に付きにくい場所に隠れているというのに、こんなに目立っていては鬼に見つかってしまう。
「え~、仲間外れ~?」
「冷たーい」
取り巻き達は軽く文句を言いながら割とあっさり去っていき、クリスは深いため息を吐いた。
「モテモテさん、だね」
「あ?」
「さっきの子達。クッキーまで…」
「あっそーだそーだクリスくん、言い忘れてたことが」
うんざり気味のクリスは目を伏せながら、夢主の言葉を遮った声の方へ振り向く。
「…ったく、何なん」
「こんにちは、死ね!」
その裏声は急に野太い地声に戻り、クリスは路地の更に奥の方へ殴り飛ばされた。
「クリスくん!?」
夢主は急いで仲間のもとへ駆け寄る。
「あだ名はモテモテボーイのが良かったか?俺ちゃんにもカワイイJK紹介してよ」
赤いフード男は拳をボキボキ鳴らしながら、未だ立ち上がれないでいるクリスに一歩一歩近付いていく。
「お?」
男は歩みを止めた。夢主は両腕を大きく広げて立ちはだかり、目の前の人物を強く睨みつける。
「ぐっ……何やってんだ!?お前は逃げろ!」
夢主はクリスの言うことを無視し、うち震える体を精一杯抑えながら大声で訴えた。
「止めてください!クリスくんに乱暴しないで!」
「……」
正直、怖くてたまらない。自分には戦える力も無いしパートナーのヒーローも側に居ない。頼りの仲間は地べたでのびている。適いっこない。今すぐにでも逃げ出したい。
だがそうする訳にはいかない。もし夢主1人だけで逃げ出せば、残されたクリスは無事では済まないかもしれないのだ。先程自分を助けてくれた彼を、キャプテン・アメリカとパートナーになりやっと改心できたクリスを、このまま見捨てることはできない。
一方、夢主はデッドプールにとって仕事上必要な存在だ。彼に捕まったとしても、少なくとも今日殺されることは無いだろう。
「……」
じっと動かないで相手の出方をうかがっていると、私服のデッドプールは無言のまま夢主に歩み寄り、その両腕で優しく包んできた。
「!?」
「さっきちゃんと挨拶出来てなかったからな」
「ひっ!」
彼と密着することで反射的に下半身に力が入り、夢主は思い出した。以前、デッドプールの肉体に目どころか一切の思考を奪われていたことを。
「あ、や、やだっ…!」
分厚いパーカー越しでも堅い筋肉の感触が伝わる。初めて会った時と同じ香りに包まれ、勝手に胸が高鳴る。
体が違う意味で震えだした。
「俺も寂しかったぜ。さあ、強く抱き締めてくれ」
「違いますっ放して!」
「こらこら照れないのぉ~」
身じろぎしても解放される気配は無い。夢主の意図に反して彼女の体内に熱がこもっていくが、同時に冷や汗も噴き出してくる。
とどめに、尾てい骨辺りから首の根本までを指先で軽くなぞられた。
「んぅっ…!」
ただそれだけのことで身体中から力が抜け、目の前の胸板に体を預けてしまう。
「あらら。ハグだけで悩殺しちゃうなんて…俺ちゃんってば、罪なオ・ト・コ」
「放…して…」
「放してって言われても、夢主ちゃんの方からしがみついてんじゃん」
パーカーのポケットが夢主のすぐ目の前にある。キャプテン・アメリカのディスクを奪い返す絶好のチャンスだが、残念ながら今の彼女にそんな余裕は無い。
夢主は心の中でパートナーのヒーローに助けを求めた。
「今それどころじゃねぇんだ、あっち行ってろ!」
せっかく人目に付きにくい場所に隠れているというのに、こんなに目立っていては鬼に見つかってしまう。
「え~、仲間外れ~?」
「冷たーい」
取り巻き達は軽く文句を言いながら割とあっさり去っていき、クリスは深いため息を吐いた。
「モテモテさん、だね」
「あ?」
「さっきの子達。クッキーまで…」
「あっそーだそーだクリスくん、言い忘れてたことが」
うんざり気味のクリスは目を伏せながら、夢主の言葉を遮った声の方へ振り向く。
「…ったく、何なん」
「こんにちは、死ね!」
その裏声は急に野太い地声に戻り、クリスは路地の更に奥の方へ殴り飛ばされた。
「クリスくん!?」
夢主は急いで仲間のもとへ駆け寄る。
「あだ名はモテモテボーイのが良かったか?俺ちゃんにもカワイイJK紹介してよ」
赤いフード男は拳をボキボキ鳴らしながら、未だ立ち上がれないでいるクリスに一歩一歩近付いていく。
「お?」
男は歩みを止めた。夢主は両腕を大きく広げて立ちはだかり、目の前の人物を強く睨みつける。
「ぐっ……何やってんだ!?お前は逃げろ!」
夢主はクリスの言うことを無視し、うち震える体を精一杯抑えながら大声で訴えた。
「止めてください!クリスくんに乱暴しないで!」
「……」
正直、怖くてたまらない。自分には戦える力も無いしパートナーのヒーローも側に居ない。頼りの仲間は地べたでのびている。適いっこない。今すぐにでも逃げ出したい。
だがそうする訳にはいかない。もし夢主1人だけで逃げ出せば、残されたクリスは無事では済まないかもしれないのだ。先程自分を助けてくれた彼を、キャプテン・アメリカとパートナーになりやっと改心できたクリスを、このまま見捨てることはできない。
一方、夢主はデッドプールにとって仕事上必要な存在だ。彼に捕まったとしても、少なくとも今日殺されることは無いだろう。
「……」
じっと動かないで相手の出方をうかがっていると、私服のデッドプールは無言のまま夢主に歩み寄り、その両腕で優しく包んできた。
「!?」
「さっきちゃんと挨拶出来てなかったからな」
「ひっ!」
彼と密着することで反射的に下半身に力が入り、夢主は思い出した。以前、デッドプールの肉体に目どころか一切の思考を奪われていたことを。
「あ、や、やだっ…!」
分厚いパーカー越しでも堅い筋肉の感触が伝わる。初めて会った時と同じ香りに包まれ、勝手に胸が高鳴る。
体が違う意味で震えだした。
「俺も寂しかったぜ。さあ、強く抱き締めてくれ」
「違いますっ放して!」
「こらこら照れないのぉ~」
身じろぎしても解放される気配は無い。夢主の意図に反して彼女の体内に熱がこもっていくが、同時に冷や汗も噴き出してくる。
とどめに、尾てい骨辺りから首の根本までを指先で軽くなぞられた。
「んぅっ…!」
ただそれだけのことで身体中から力が抜け、目の前の胸板に体を預けてしまう。
「あらら。ハグだけで悩殺しちゃうなんて…俺ちゃんってば、罪なオ・ト・コ」
「放…して…」
「放してって言われても、夢主ちゃんの方からしがみついてんじゃん」
パーカーのポケットが夢主のすぐ目の前にある。キャプテン・アメリカのディスクを奪い返す絶好のチャンスだが、残念ながら今の彼女にそんな余裕は無い。
夢主は心の中でパートナーのヒーローに助けを求めた。