番外編9:都合の悪い俺ちゃん
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「よう」
困り果てた夢主の正面に現れたのは、待ち望んだヒーローではなく同世代の子供だった。
「クリスくん…」
「悪い、待ったか?」
「へ?」
この青年とは待ち合わせなどしていない。が、彼の言葉の意図はすぐ掴めた。
「あ!…ああ、ううん!全然!」
立ち上がった夢主は男に軽く会釈し、急いでクリスの後を追う。
「ヒュー、カッコイ~」
夢主に絡んできていた男はベンチに体を預けたまま2人に届く声量で冷やかしてきた。
「思春期ボーイからハンサムボーイへ昇格だな」
「!!」
何かに気付いたクリスが目を見開く。この煽り文句には聞き覚えがあったからだ。
「どうしたの?クリスくん」
「お前っ…!」
クリスは勢い良く振り返った。くつろいでいた男はゆっくり立ち上がり口の端をつり上げる。
「あらっ、気付いちゃった?そう。俺ちゃん」
ふざけた調子の声と特殊な一人称で、クリスの隣で突っ立っている夢主も彼が誰なのかを理解した。
「あのこじらせ系男子が、見ない内にカッコ良くなっちゃって。子供の成長は早いなぁ」
「デ、デッドプールさん…!?」
「夢主ちゃんもお久~、元気してちょちょっちょっと待ったぁ!」
クリスは青いディスクを握り締めた手を振り上げていた。
「今俺丸腰なんだってば!勘弁してよー!」
「戦いに来た訳じゃねぇのか?」
「まさか!…でも」
デッドプールはフードがめくれる速さで一気に距離を詰め、クリスの服を掴み軽々と投げ飛ばした。
「クリスくん!」
「念のためキャップは預かっとくぜ」
仲間に駆け寄った夢主が振り向くと、彼は一瞬で奪い取った青いディスクを片手でお手玉していた。
「今、面と向かってディー・スマッシュされちゃ、さすがのデッドプール様も勝ち目無いからな」
それをポケットに仕舞い入れ、私服の傭兵は一方的なお喋りを続ける。
「俺ちゃん今日はオフの日なの。だから仲良く放課後ティータイムと洒落込もうぜ?」
「ふざけんな!できるわけねぇだろ、俺達を殺そうとした敵と街ブラツくなんて!ディスクを返せ!!」
クリスは何とも無かったかのように立ち上がり夢主の一歩前に出た。彼は投げ飛ばされたときに上手く受け身を取っていたため、最小限の怪我で済んだようだ。
「そうピリピリすんなよ。昨日の敵は今日の友って、ばっちゃが言ってたぞ~?ま、どーしても嫌ってんなら、せめて夢主ちゃん置いてってくんない?その子に会いたいから連れてきてーって取引先に頼まれちゃってさ、明日の朝一でお届けしたいの」
「!」
青ざめた夢主はたじろぎ、クリスの立ち位置よりも更に数歩下がった。夢主の身柄を欲しがる人物なんて限られている。
「それまでの間、俺ちゃんとデートでもしてようぜーって、ちょっと!」
クリスは夢主の手を引いて踵を返し、学校の外へ走り出した。
「おっ、こりゃもしかしてパルクール?日本じゃ池袋でしかできないと思ってたぜ。んじゃあハンデで俺ちゃん1分後にスタートね!いーち、にーぃ、さーん…」
数分後。生徒の通報で警備員が駆けつけた頃には、何の変哲も無いいつもの中庭に戻っていた。
困り果てた夢主の正面に現れたのは、待ち望んだヒーローではなく同世代の子供だった。
「クリスくん…」
「悪い、待ったか?」
「へ?」
この青年とは待ち合わせなどしていない。が、彼の言葉の意図はすぐ掴めた。
「あ!…ああ、ううん!全然!」
立ち上がった夢主は男に軽く会釈し、急いでクリスの後を追う。
「ヒュー、カッコイ~」
夢主に絡んできていた男はベンチに体を預けたまま2人に届く声量で冷やかしてきた。
「思春期ボーイからハンサムボーイへ昇格だな」
「!!」
何かに気付いたクリスが目を見開く。この煽り文句には聞き覚えがあったからだ。
「どうしたの?クリスくん」
「お前っ…!」
クリスは勢い良く振り返った。くつろいでいた男はゆっくり立ち上がり口の端をつり上げる。
「あらっ、気付いちゃった?そう。俺ちゃん」
ふざけた調子の声と特殊な一人称で、クリスの隣で突っ立っている夢主も彼が誰なのかを理解した。
「あのこじらせ系男子が、見ない内にカッコ良くなっちゃって。子供の成長は早いなぁ」
「デ、デッドプールさん…!?」
「夢主ちゃんもお久~、元気してちょちょっちょっと待ったぁ!」
クリスは青いディスクを握り締めた手を振り上げていた。
「今俺丸腰なんだってば!勘弁してよー!」
「戦いに来た訳じゃねぇのか?」
「まさか!…でも」
デッドプールはフードがめくれる速さで一気に距離を詰め、クリスの服を掴み軽々と投げ飛ばした。
「クリスくん!」
「念のためキャップは預かっとくぜ」
仲間に駆け寄った夢主が振り向くと、彼は一瞬で奪い取った青いディスクを片手でお手玉していた。
「今、面と向かってディー・スマッシュされちゃ、さすがのデッドプール様も勝ち目無いからな」
それをポケットに仕舞い入れ、私服の傭兵は一方的なお喋りを続ける。
「俺ちゃん今日はオフの日なの。だから仲良く放課後ティータイムと洒落込もうぜ?」
「ふざけんな!できるわけねぇだろ、俺達を殺そうとした敵と街ブラツくなんて!ディスクを返せ!!」
クリスは何とも無かったかのように立ち上がり夢主の一歩前に出た。彼は投げ飛ばされたときに上手く受け身を取っていたため、最小限の怪我で済んだようだ。
「そうピリピリすんなよ。昨日の敵は今日の友って、ばっちゃが言ってたぞ~?ま、どーしても嫌ってんなら、せめて夢主ちゃん置いてってくんない?その子に会いたいから連れてきてーって取引先に頼まれちゃってさ、明日の朝一でお届けしたいの」
「!」
青ざめた夢主はたじろぎ、クリスの立ち位置よりも更に数歩下がった。夢主の身柄を欲しがる人物なんて限られている。
「それまでの間、俺ちゃんとデートでもしてようぜーって、ちょっと!」
クリスは夢主の手を引いて踵を返し、学校の外へ走り出した。
「おっ、こりゃもしかしてパルクール?日本じゃ池袋でしかできないと思ってたぜ。んじゃあハンデで俺ちゃん1分後にスタートね!いーち、にーぃ、さーん…」
数分後。生徒の通報で警備員が駆けつけた頃には、何の変哲も無いいつもの中庭に戻っていた。