番外編8:都合の良い青年
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あの後クリスファン達とは別れてまた2人きりになり、散歩という名の香水捜しを続けていた。
「モテモテさん、だね」
「あ?」
「さっきの子達。クッキーまで…」
夢主はクリスが持っている小さめの紙袋を見やる。中身のものはそれぞれが丁寧且つ可愛らしいラッピングに包まれていて、いかに彼女達がこの青年に夢中かということを主張しているようだ。
「鬱陶しいだけだ」
「そうかな」
口答えすると横目で軽く睨まれた。
「貰えない人からしたら、勿体ないというか…きっと羨ましいと思うよ」
「知らねぇよ」
「知らねぇって……あとさ、クリスくんはあの子達にちゃんとお礼言ってるの?」
言い終えたと同時に、夢主のお腹が大きく鳴った。
「…!」
今日は妙な男性に絡まれたりミーハー女子に圧倒されたりと緊張続きだったためか、腹の減りがいつもより早い。恥ずかしさから夢主は自身の胃の辺りを押さえた。
「どうした?」
「あ、いや…」
「もしかして、腹減ったのか?」
どうやら音は隣の彼に聞こえていなかったらしく、今の動きのせいで悟られてしまったようだ。
「やる」
横を歩くクリスはつい先程手渡された紙袋を夢主の目の前に持ち上げた。
「良いの?ありが……いや、ダメだよ!これはあの子達がせっかく…」
空腹のためうっかり受け取ってしまったが、この手作りお菓子はクリスのために用意されたプレゼントだ。無関係な夢主がそう易々と手を出して良いものではない。
「知らねぇっつってんだろ。それに」
続きの言葉を選ぶため、彼は一旦黙った。
「不味いし」
「…不味い?」
透明の包みに収まっているそれらは、店に並んでいてもおかしくない程に出来が良い。彼に憧れる乙女がおふざけでとんでもない材料を入れているとも考えにくい。至って普通の、安全なお菓子に見える。
「…美味しそうだよ?」
「そういう意味じゃねぇよ。甘くねぇからだ」
彼女達が甘さ控えめに作ったと言っていたのを夢主は思い出した。
「じゃあ、もっと甘いの作ってもらえば?」
「何でわざわざ教えなきゃなんねぇんだ」
「だってその方が」
「とにかく、それはお前が処理しろ」
「……」
納得がいかないが、今無理矢理返してもそこらにポイ捨てされたりしては困る。夢主は自分の鞄に紙袋ごとクッキーを仕舞った。
その様子をじっと見られていることに気付く。
「今は良いよ、我慢する。もうすぐ夜ご飯になるし、お風呂上がりにでも食べるね」
嘘をつき、とりあえずはクッキーの破棄を阻止。アベンジャーズ基地に帰ったら是が非でも本人に食べさせてやるつもりだ。
「モテモテさん、だね」
「あ?」
「さっきの子達。クッキーまで…」
夢主はクリスが持っている小さめの紙袋を見やる。中身のものはそれぞれが丁寧且つ可愛らしいラッピングに包まれていて、いかに彼女達がこの青年に夢中かということを主張しているようだ。
「鬱陶しいだけだ」
「そうかな」
口答えすると横目で軽く睨まれた。
「貰えない人からしたら、勿体ないというか…きっと羨ましいと思うよ」
「知らねぇよ」
「知らねぇって……あとさ、クリスくんはあの子達にちゃんとお礼言ってるの?」
言い終えたと同時に、夢主のお腹が大きく鳴った。
「…!」
今日は妙な男性に絡まれたりミーハー女子に圧倒されたりと緊張続きだったためか、腹の減りがいつもより早い。恥ずかしさから夢主は自身の胃の辺りを押さえた。
「どうした?」
「あ、いや…」
「もしかして、腹減ったのか?」
どうやら音は隣の彼に聞こえていなかったらしく、今の動きのせいで悟られてしまったようだ。
「やる」
横を歩くクリスはつい先程手渡された紙袋を夢主の目の前に持ち上げた。
「良いの?ありが……いや、ダメだよ!これはあの子達がせっかく…」
空腹のためうっかり受け取ってしまったが、この手作りお菓子はクリスのために用意されたプレゼントだ。無関係な夢主がそう易々と手を出して良いものではない。
「知らねぇっつってんだろ。それに」
続きの言葉を選ぶため、彼は一旦黙った。
「不味いし」
「…不味い?」
透明の包みに収まっているそれらは、店に並んでいてもおかしくない程に出来が良い。彼に憧れる乙女がおふざけでとんでもない材料を入れているとも考えにくい。至って普通の、安全なお菓子に見える。
「…美味しそうだよ?」
「そういう意味じゃねぇよ。甘くねぇからだ」
彼女達が甘さ控えめに作ったと言っていたのを夢主は思い出した。
「じゃあ、もっと甘いの作ってもらえば?」
「何でわざわざ教えなきゃなんねぇんだ」
「だってその方が」
「とにかく、それはお前が処理しろ」
「……」
納得がいかないが、今無理矢理返してもそこらにポイ捨てされたりしては困る。夢主は自分の鞄に紙袋ごとクッキーを仕舞った。
その様子をじっと見られていることに気付く。
「今は良いよ、我慢する。もうすぐ夜ご飯になるし、お風呂上がりにでも食べるね」
嘘をつき、とりあえずはクッキーの破棄を阻止。アベンジャーズ基地に帰ったら是が非でも本人に食べさせてやるつもりだ。