番外編8:都合の良い青年
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落とし物として交番に届いていないか警官に尋ねたが、男性用の香水は一つも預かっていないと言われた。
もし校内で落としたのならば事務室等で保管されている可能性もあるが、あんなことがあった直後だ、まだ学校へ戻る気にはなれない。
「なら後回しで良いだろ」
「ごめんね」
「別に。お前が謝ることじゃねぇし」
よって、まずは道端を捜索するため通学路周りを辿って行こうとした。
「クーリースーくんっ」
華やかな声が夢主の隣を歩く青年を引き止める。
「やっぱりそうだ!今日は会えなかったからどうしようかと思ったぁ」
「クリスくーん!」
声の主は、いつもクリスの席に集まる女子生徒達だった。
夢主は以前から彼女達に対して嫌悪感まではいかないにしろ、若干の近寄り難さを感じていた。異性への関心を惜し気もなく露わにするという、ロールシャッハとまるで正反対な性格の人間とは気が合わないと思い込んでいるためである。
駆け寄ってきたその5、6人はあっという間に標的を取り囲んだ。全員が何かを手に持ちながら。
「クリスくんクリスくん、クッキー焼いたの。甘さ控えめだからね、食べやすいと思うの!」
「良かったら食べてー」
「あたしのも!」
「クリスくん、その子誰?」
軍団の内、一人が夢主に目を留める。
「知ってる~、夢主ちゃんでしょ?クラス一緒だもん、ね!」
また別の女子がにこやかに話しかけてきた。
「はい、はじめまして」
夢主は初めて顔を合わせる女の子達に向かってしっかり頭を下げる。
「はじめまして!」
「ねぇ、何でクリスくんと一緒に歩いてんの?」
当然の疑問だ。そして重大な質問だ。
若干、場の空気が冷え始める。
「それは、一緒に捜し物をしていて」
「あ……捜し物?」
「ふーん…」
いまいちな反応から夢主は察した。
聞きたかった答えはそうじゃない。彼とは一体どういう関係なのか。それが彼女達の一番の関心事だろう。
「えーっと…!クリスくんとは」
言い直す夢主の口元に全員が着目する。今度は空気が熱くも冷たくもなく、ただ止まる感覚。
「友達で…!」
この単語をきっかけに、彼女達の雰囲気が一気に和らいだ。
「そうなんだ、私達もクリスくんと友達なの」
「ね~クリスくん!」
「よろしくね、夢主ちゃん」
「はい、よろしくお願いします」
「カタいよー、同級生なんだからさ」
「う、うん!」
何だ。最初はどうなるかと思ったが、皆明るくて良い子達ではないか。夢主はまだ肩に力が入っているものの、安心して顔をほころばせた。
「そう言えば捜し物してるんだよね、何捜してるの?」
「それが…私やクリスくんの物じゃないんだけど、香水を落としちゃって」
「どんな香水?私達も捜すよ」
「うんうん、協力する!」
「本当ですか!ありがとうございます!」
しかも気の遣える親切な子達と来た。すっかり笑顔になった夢主は元気にお辞儀をする。
「こらこら、だからカタいってば」
「言ったばっかじゃーん」
「見つけたら連絡したいからさ、番号教えてよ」
夢主とクリスの取り巻き達はお互いに端末を取り出し連絡先を交換し合った。
一番先に登録を済ませ手持ち無沙汰になった女子は、夢主の隣に突っ立っているクリスにも近付く。
「クリスくんも!」
「俺のは必要無いだろ」
「むぅ、冷たーい」
彼女は可愛らしく頬を膨らますが、肝心の彼はそっぽを向き続けている。クリスのその頑なな態度に、夢主は少しだけ違和感を覚えた。
もし校内で落としたのならば事務室等で保管されている可能性もあるが、あんなことがあった直後だ、まだ学校へ戻る気にはなれない。
「なら後回しで良いだろ」
「ごめんね」
「別に。お前が謝ることじゃねぇし」
よって、まずは道端を捜索するため通学路周りを辿って行こうとした。
「クーリースーくんっ」
華やかな声が夢主の隣を歩く青年を引き止める。
「やっぱりそうだ!今日は会えなかったからどうしようかと思ったぁ」
「クリスくーん!」
声の主は、いつもクリスの席に集まる女子生徒達だった。
夢主は以前から彼女達に対して嫌悪感まではいかないにしろ、若干の近寄り難さを感じていた。異性への関心を惜し気もなく露わにするという、ロールシャッハとまるで正反対な性格の人間とは気が合わないと思い込んでいるためである。
駆け寄ってきたその5、6人はあっという間に標的を取り囲んだ。全員が何かを手に持ちながら。
「クリスくんクリスくん、クッキー焼いたの。甘さ控えめだからね、食べやすいと思うの!」
「良かったら食べてー」
「あたしのも!」
「クリスくん、その子誰?」
軍団の内、一人が夢主に目を留める。
「知ってる~、夢主ちゃんでしょ?クラス一緒だもん、ね!」
また別の女子がにこやかに話しかけてきた。
「はい、はじめまして」
夢主は初めて顔を合わせる女の子達に向かってしっかり頭を下げる。
「はじめまして!」
「ねぇ、何でクリスくんと一緒に歩いてんの?」
当然の疑問だ。そして重大な質問だ。
若干、場の空気が冷え始める。
「それは、一緒に捜し物をしていて」
「あ……捜し物?」
「ふーん…」
いまいちな反応から夢主は察した。
聞きたかった答えはそうじゃない。彼とは一体どういう関係なのか。それが彼女達の一番の関心事だろう。
「えーっと…!クリスくんとは」
言い直す夢主の口元に全員が着目する。今度は空気が熱くも冷たくもなく、ただ止まる感覚。
「友達で…!」
この単語をきっかけに、彼女達の雰囲気が一気に和らいだ。
「そうなんだ、私達もクリスくんと友達なの」
「ね~クリスくん!」
「よろしくね、夢主ちゃん」
「はい、よろしくお願いします」
「カタいよー、同級生なんだからさ」
「う、うん!」
何だ。最初はどうなるかと思ったが、皆明るくて良い子達ではないか。夢主はまだ肩に力が入っているものの、安心して顔をほころばせた。
「そう言えば捜し物してるんだよね、何捜してるの?」
「それが…私やクリスくんの物じゃないんだけど、香水を落としちゃって」
「どんな香水?私達も捜すよ」
「うんうん、協力する!」
「本当ですか!ありがとうございます!」
しかも気の遣える親切な子達と来た。すっかり笑顔になった夢主は元気にお辞儀をする。
「こらこら、だからカタいってば」
「言ったばっかじゃーん」
「見つけたら連絡したいからさ、番号教えてよ」
夢主とクリスの取り巻き達はお互いに端末を取り出し連絡先を交換し合った。
一番先に登録を済ませ手持ち無沙汰になった女子は、夢主の隣に突っ立っているクリスにも近付く。
「クリスくんも!」
「俺のは必要無いだろ」
「むぅ、冷たーい」
彼女は可愛らしく頬を膨らますが、肝心の彼はそっぽを向き続けている。クリスのその頑なな態度に、夢主は少しだけ違和感を覚えた。