番外編8:都合の良い青年
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学校を出た2人は、とりあえずアベンジャーズ基地に向かって肩を並べて歩いていた。
「さっきはありがとうね」
「別に。つーか誰だよ、あれ。知り合いには見えなかったけど」
「うん。初めて会った人」
「ああいうのはシカトしとけば良いんだよ」
「シ、シカトか…う~ん…」
「誘われても断るつもりだったんだろ?」
「そうだけど……無視するなんて相手に悪い気がして」
「そんなの知るか。相手は自分の都合で話しかけてきてんだ。だったらこっちも自分の都合で無視すりゃ良い」
さも当たり前かのようにクリスは言ってのけた。
「へぇ~」
彼はモテる。何もしなくともクラスの女子に取り囲まれてしまう程だ。よってクリスは異性からの誘いにも、それを断ることにも慣れている。こういった場面において自分の意見を持ち且つしっかり通せる性格を、夢主は羨ましく思った。
「すごいなぁ、クリスくんは」
「お前が遠慮し過ぎなだけ。それより、早くあいつに連絡しろよ」
「それが…」
夢主の手首にあるディスクにはやや特殊な細工がされており、クリス達と違ってヒーローと会話する機能が使えない。
「じゃあ電話は?」
「ロールシャッハさん、スマホ持ちたがらなくて…」
「はぁ?じゃあお前等、いつもどうやって連絡取り合ってるんだ?今日みたいに待ち合わせできなかった時とか…」
クリスの言葉を遮るように横道から黄土色のトレンチコートを着た男が現れ、2人の前に仁王立ちした。
「ロールシャッハさん!」
先程まで苦笑いを浮かべていた夢主の顔が切り替わるように明るくなる。
「ごめんなさい、先に帰っちゃって」
「…お前だったのか」
ロールシャッハはパートナーではなく隣に居る青年を見据え、肩をほんの少し下げた。
クリスは目を軽く伏せて視線をずらす。夢主と2人で居ることをとやかく聞かれる前に、ロールシャッハの横を通り過ぎようとした。
「じゃあな」
「待て」
が、声だけで足止めされる。
「何だよ」
「香水を知らないか?」
「香水?」
「捜しているんだが見つからなくてな。今日遅れたのは、そのせいだ」
「そうだったんですか。私は見てませんよ。この辺りで無くされたんですか?」
「恐らくな」
「じゃあ一緒に捜しましょう!」
みるみる元気を取り戻していく夢主を見て、クリスは自分だけ蚊帳の外に置かれているこの空気が嫌になった。
「俺はここから家の方まで。2人は学校周りを」
「え?」
「は?俺も数に入ってんのかよ」
「夢主を1人にする気か?」
パートナーのことが心配なら、本人が一緒に行動すれば良い。夢主の護衛は彼の日課なのだから。
「……」
「……」
だが、理由は何にしろロールシャッハはクリスが勝手に帰ることを許してくれないようだ。
「…わかったよ」
面倒なことに巻き込まれたが仕方が無いと、彼はため息混じりに了承した。
「さっきはありがとうね」
「別に。つーか誰だよ、あれ。知り合いには見えなかったけど」
「うん。初めて会った人」
「ああいうのはシカトしとけば良いんだよ」
「シ、シカトか…う~ん…」
「誘われても断るつもりだったんだろ?」
「そうだけど……無視するなんて相手に悪い気がして」
「そんなの知るか。相手は自分の都合で話しかけてきてんだ。だったらこっちも自分の都合で無視すりゃ良い」
さも当たり前かのようにクリスは言ってのけた。
「へぇ~」
彼はモテる。何もしなくともクラスの女子に取り囲まれてしまう程だ。よってクリスは異性からの誘いにも、それを断ることにも慣れている。こういった場面において自分の意見を持ち且つしっかり通せる性格を、夢主は羨ましく思った。
「すごいなぁ、クリスくんは」
「お前が遠慮し過ぎなだけ。それより、早くあいつに連絡しろよ」
「それが…」
夢主の手首にあるディスクにはやや特殊な細工がされており、クリス達と違ってヒーローと会話する機能が使えない。
「じゃあ電話は?」
「ロールシャッハさん、スマホ持ちたがらなくて…」
「はぁ?じゃあお前等、いつもどうやって連絡取り合ってるんだ?今日みたいに待ち合わせできなかった時とか…」
クリスの言葉を遮るように横道から黄土色のトレンチコートを着た男が現れ、2人の前に仁王立ちした。
「ロールシャッハさん!」
先程まで苦笑いを浮かべていた夢主の顔が切り替わるように明るくなる。
「ごめんなさい、先に帰っちゃって」
「…お前だったのか」
ロールシャッハはパートナーではなく隣に居る青年を見据え、肩をほんの少し下げた。
クリスは目を軽く伏せて視線をずらす。夢主と2人で居ることをとやかく聞かれる前に、ロールシャッハの横を通り過ぎようとした。
「じゃあな」
「待て」
が、声だけで足止めされる。
「何だよ」
「香水を知らないか?」
「香水?」
「捜しているんだが見つからなくてな。今日遅れたのは、そのせいだ」
「そうだったんですか。私は見てませんよ。この辺りで無くされたんですか?」
「恐らくな」
「じゃあ一緒に捜しましょう!」
みるみる元気を取り戻していく夢主を見て、クリスは自分だけ蚊帳の外に置かれているこの空気が嫌になった。
「俺はここから家の方まで。2人は学校周りを」
「え?」
「は?俺も数に入ってんのかよ」
「夢主を1人にする気か?」
パートナーのことが心配なら、本人が一緒に行動すれば良い。夢主の護衛は彼の日課なのだから。
「……」
「……」
だが、理由は何にしろロールシャッハはクリスが勝手に帰ることを許してくれないようだ。
「…わかったよ」
面倒なことに巻き込まれたが仕方が無いと、彼はため息混じりに了承した。