番外編7:都合の良い壁
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実質、彼等は大の大人が半分を占める10人以上の団体客だが、目に見える人数に合わせてやや広めの個室に案内された。
「ヨッシャー!俺いっちばーん!」
「わぁ~、カラオケの中ってこんなになってるんだ!」
「おい、後ろつかえてるぞ」
人生初のカラオケ室内に見とれているエドに、もっと奥へ詰めるようクリスが促す。
夢主と一緒に最後に部屋に入ったロールシャッハは戸を閉め、出口近くの小さいスツールに腰を下ろした。
「ジェシカちゃん、その…」
「わかってるって。私に任せて!ほらアキラ、次デンモクまわして!」
アキラは既に自分が歌う分の登録を済ませていた。ジェシカにタッチパネルの装置を渡し、彼は早速マイクを手に取る。
「夢主、これ一緒に歌いましょ」
人によるが、気の置けない仲間とのデュエットも楽しいものだ。
「え……これって」
問題はその選曲。ジェシカが指定した歌の歌詞には“愛してる”とか“キス”とか、甘い言葉がふんだんに散りばめられている。明らかに異性を意識した歌だ。
「知ってる?」
「知ってるっちゃ、知ってるけ」
「なら歌えるわね!」
「歌える、けど!でもっその、この歌…!」
「思った通りの反応ね~、ああ、もう入れちゃったから。この次よ」
1曲目は最後のサビに入り、側でヒカルが叩いているタンバリンも盛り上がりを見せていた。カラオケに慣れないクリスとエドは歌詞が流れるモニターに目を向けていて、焦る夢主には全く気付いていない。
「ジェシカちゃんっ…!」
「まあまあ、良い機会じゃない。そうでしょ?」
「う…うぅ」
縮こまった夢主は斜め向かいに座っているロールシャッハの顔の模様をうかがった。
「何だ」
「あの…次に、私とジェシカちゃんが歌う曲なんですけど。その~…」
恋の歌を異性、しかも尊敬する人物の前で披露するということだけでも夢主には少々勇気が要る。
「はっきり言え」
が、それは既に覚悟していたこと。彼女が言いよどんだ理由はもう一つあった。
「……恋愛を歌った歌で…それらしい言葉が、沢山出てくるんですけど…勿論、行きすぎた表現は無いです!でも…」
無理を言ってここへ連れ込んだ手前、ロールシャッハの嫌がる系統の歌は自ら控えるべきだと考えていた。そもそも、彼の性格を考えれば歌う前に当然止められると思っていた。が、
「歌は歌だ」
意外にもそれは了承される。
「そーよ。歌なんだから、細かいこと気にしないで思い切り歌っちゃいましょ!そのために来たんだし」
部屋に2本あるマイクの内の1本をジェシカから手渡される。
「そうだね…!」
大きなモニターには本日2曲目の題名と作詞者・作曲者の名前が表示された。
「ヨッシャー!俺いっちばーん!」
「わぁ~、カラオケの中ってこんなになってるんだ!」
「おい、後ろつかえてるぞ」
人生初のカラオケ室内に見とれているエドに、もっと奥へ詰めるようクリスが促す。
夢主と一緒に最後に部屋に入ったロールシャッハは戸を閉め、出口近くの小さいスツールに腰を下ろした。
「ジェシカちゃん、その…」
「わかってるって。私に任せて!ほらアキラ、次デンモクまわして!」
アキラは既に自分が歌う分の登録を済ませていた。ジェシカにタッチパネルの装置を渡し、彼は早速マイクを手に取る。
「夢主、これ一緒に歌いましょ」
人によるが、気の置けない仲間とのデュエットも楽しいものだ。
「え……これって」
問題はその選曲。ジェシカが指定した歌の歌詞には“愛してる”とか“キス”とか、甘い言葉がふんだんに散りばめられている。明らかに異性を意識した歌だ。
「知ってる?」
「知ってるっちゃ、知ってるけ」
「なら歌えるわね!」
「歌える、けど!でもっその、この歌…!」
「思った通りの反応ね~、ああ、もう入れちゃったから。この次よ」
1曲目は最後のサビに入り、側でヒカルが叩いているタンバリンも盛り上がりを見せていた。カラオケに慣れないクリスとエドは歌詞が流れるモニターに目を向けていて、焦る夢主には全く気付いていない。
「ジェシカちゃんっ…!」
「まあまあ、良い機会じゃない。そうでしょ?」
「う…うぅ」
縮こまった夢主は斜め向かいに座っているロールシャッハの顔の模様をうかがった。
「何だ」
「あの…次に、私とジェシカちゃんが歌う曲なんですけど。その~…」
恋の歌を異性、しかも尊敬する人物の前で披露するということだけでも夢主には少々勇気が要る。
「はっきり言え」
が、それは既に覚悟していたこと。彼女が言いよどんだ理由はもう一つあった。
「……恋愛を歌った歌で…それらしい言葉が、沢山出てくるんですけど…勿論、行きすぎた表現は無いです!でも…」
無理を言ってここへ連れ込んだ手前、ロールシャッハの嫌がる系統の歌は自ら控えるべきだと考えていた。そもそも、彼の性格を考えれば歌う前に当然止められると思っていた。が、
「歌は歌だ」
意外にもそれは了承される。
「そーよ。歌なんだから、細かいこと気にしないで思い切り歌っちゃいましょ!そのために来たんだし」
部屋に2本あるマイクの内の1本をジェシカから手渡される。
「そうだね…!」
大きなモニターには本日2曲目の題名と作詞者・作曲者の名前が表示された。