番外編5:都合の悪い傭兵
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彼女の災難はまだまだ続く。
「ハァーイお待た~!ここのシャワー、いつ浴びても最高だな!」
ご機嫌なデッドプールがボスンと音を立ててソファに腰を下ろし、すぐ隣の夢主はその反動と驚きで少しだけ跳ね上がった。
「そ、そうですか…」
傭兵という職業柄、見事に鍛え上げられたバランスの良い上半身は丸出し、下半身は丈が長めのハート柄トランクスのみ。しかも湯上がり直後ということでその血行の良い肌が若干眩しい。何故かマスクと手袋は付けたままというスタイルは、さらけ出されている肌をより一層引き立たせている。ように見える。気がする。
とにかく、このままでは目に毒だ。
「キャッ、俺ちゃん恥ずかしい!女の子の前で“オマタ”なんて言っちゃって…!」
「それより何か上に着てください…」
「異議あり!」
「!?」
「端末画面の前のお友達だって、肌色多めのデップーが良いに決まってるじゃん。夢主ちゃんも堪能したいっしょ?」
彼は夢主の要望をあっさり却下し、頭の後ろと腰に手を当ててウインクをした。
「あの、デッドプールさん、どうぞ私に構わず!アベンジャーズの皆さんとお話があるんじゃ」
「あーっ知ってる知ってる!平凡夢主ね」
そして自分にしか分かり得ない話を始める。
「え?…へいぼん、ゆ?」
「“ワタシは目立ちたくなーい!イケメンキャラに絡まれるイケイケ☆ライフなんて送りたくなーい!アンタなんかにキョーミなーい!ほっといてぇー!”ってヤツ」
「……?」
夢主だけでなく子供達数人が首をかしげた。その他は「また始まった…」と言わんばかりにため息を吐く。
「あの……別に、貴方を嫌っている訳じゃないから…」
「でも結局さぁ、そういう態度が逆に特殊で新鮮だから、俺ちゃんみたいなモテモテナイスガイに気に入られちゃうんだよね~あるある~」
「……」
まるでこちらの話を聞いていない。夢主はこいつの相手をすることにだんだん嫌気が差してきた。
「ま、そうでもしないとお話が進まないからな~。それにぃ、そーゆー展開に憧れてんだろ?世の乙女は。ちなみに夢主ちゃんは平凡夢主っつーより実は、え?何?」
「え?」
「え?って、俺ちゃんのことが大好きって?ロールシャッハより?」
「ちょちょちょっ!私そんなこと、一言も…」
デッドプールは両手を胸の前で組み、マスクの覗き穴の白い部分を揺るがせながら見つめてきた。
「えっと……」
子犬のように可愛らしい声で鳴かれ、更に裏声で「どうする?」と囁かれる。一体どこからそんな声を出しているのか。
「嫌いじゃねぇって言っただけだろ。ハッキリしろよ」
困り果てた夢主に助け船を出したのは、少し離れたところから様子を見ていたクリスだ。
「こじらせ系男子は黙ってろよー」
「何だよこじらせって」
「ハッキリ言われなくたって、もう全部知ってるもーん夢主ちゃんの頭ん中~」
「い、痛い…」
人差し指でこめかみをぐりぐり圧された後、手を銃の形にして心臓の辺りを撃つ真似をしてきた。反射的に胸を隠す。
「なあなあなあなあ、俺ちゃん何歳に見える~?」
「はい!?えっと、そうですね…」
「マスクしてる奴の歳なんかわかるかよ」
クリスがまたも口を挟む。
「さっきから邪魔すんなっての、思春期ボーイ」
「だっ誰が思春期ボーイだ!?」
「君ちゃんのコト~。で?で?女の子ちゃんの素直な意見は?俺ちゃん、気になります!」
デッドプールの全身を軽く、じっくり眺めると心臓がうるさいので、本当に軽く眺める。
「うーん…」
二十歳くらい、と言っておけば無難だろうか?
「ぶっぶー♪さすがに若すぎるっしょ。んなヒヨッ子にはこの二の腕は作れないって。ほら」
「ひゃ!?」
そう言って彼は夢主の手首を掴み、自分の力こぶに無理矢理這わせた。
「俺ちゃん自慢の筋肉、どうよどうよ?カッチカチだろ?カッチカチ!太股も触ってみる?」
「いい加減にしろ」
「まだ居たの?あんたホログラムでもウルヴァリン並に臭うんだよ、しっしっ」
デッドプールはロールシャッハを追い払うように、掴んだままの夢主の手首をぷらぷらと振った。
「番外編一話挟んだくらいじゃまだまだ臭いは取れてないぜ。っつうか!なぁ~にが“フム、悪くない”だ!アンタそんなキャラじゃないだろ?」
「デッドプールさん!」
筋肉の締まった太股に触れる直前で、ようやく夢主は彼の手を振り払った。
「あのっキャップさんも言ってましたけど、どうしてアベンジャーズの皆さんに会いにいらっしゃったんですか?」
「あー、ああ~……そうだった」
途端に声のトーンが下がっていく。
「子猫ちゃん、いや、子犬ちゃんの催促とあっちゃあ、無視する訳にはいかねぇよな」
子犬を翻弄していた男はソファの裏に一時的に立て掛けられていた装備の内、日本刀を後ろ手で掴んだ。
「伏せてろ!!」
「おわっ!?」
危険を察したロールシャッハが跳び上がり、デッドプールの顔に張り付く。大きな一振りは予定の軌道を外れ、刀身が夢主の鼻先をかすめソファに食い込んだ。
「!?」
「キャーッ、ドブネズミよ~ゴキブリよ~ロールシャッハよ~!不吉且つ不潔ぅ~!誰か取って~ぇ!おい、マジで誰か取れっつってんだろうが!マジで!マジで!!」
デッドプールは脇をしめてこの場に居合わせる誰よりも慌てふためいたフリをした後、今度は気分を害した様子に切り替えて腕を組む。
「ったく、夢主ちゃんはガード堅いし顔面にロールシャッハくらうし。今日は何て日だ!」
「デッ…デッドプールさん…?」
震える夢主に傭兵は地声で答える。
「どうして来たかって?教えてやるよ。バイオコードを持つ子供とその愉快な仲間アベンジャーズを始末しに、さ」
口を止めずに彼はもう一本持参していた刀もゆっくり抜いた。
「始末って言っても、全員ヤっちゃう訳じゃないぜ?確かリミテッドじゃないって聞いてたんだよなー…ひ・と・り・だ・け」
日本刀の切っ先が腰を抜かして動けない夢主に向けられた。
小さいままのキャプテン・アメリカが怒りを込めて言い放つ。
「おのれ、デッドプール!ヴィランに雇われたのか!?」
「まあね。多分アンタらの敵さんだろ。興味無いけど」
「助けてやった恩をもう忘れたか?」
キャプテン程焦ってはいないがアイアンマンもまた彼を咎める。
「えーっ?シャチョサン、まさか俺ちゃんの脳味噌信用してたの~?」
「どうすんだよトニー!デッドプールは不死身なんだろ?」
「そうそう。それにめちゃくちゃ強いんだぜ!今回はテレポートもお披露目しちゃおっかな~」
アキラの問いに本人がノリノリで答える。
「ああ、強いさ。でもやるしかない!」
「ヘイヘイ!お子様方がカッコ良くディスクを叩きつけんのと、俺ちゃんが生首5つ作成すんの、どっちが多く尺割くと思ってんの?」
「さあな。だが、そのお喋りよりは早い!」
リーダーの言う通り、既にアベンジャーズ全員が実体化を済ませていた。
「あちゃー、結局アッセンブルって訳ね。参ったなー、だって1、2、3、4……」
デッドプールはこの場に居るメンバーを丁寧に数えていき、最後に自分の顔にへばりついているロールシャッハを指す。
「13人相手ってどんなプレイよ?」
奇数なのはペッパーも含まれたため。
「ちょっと、私まで数に入ってるの!?」
「どうせヤルなら目指すは全クリよ。ゲームのルールは5分ちょいの耐久バトル。俺様の得意技さ」
傭兵は腰を低くし刀を構え、臨戦態勢に入った。
「ハァーイお待た~!ここのシャワー、いつ浴びても最高だな!」
ご機嫌なデッドプールがボスンと音を立ててソファに腰を下ろし、すぐ隣の夢主はその反動と驚きで少しだけ跳ね上がった。
「そ、そうですか…」
傭兵という職業柄、見事に鍛え上げられたバランスの良い上半身は丸出し、下半身は丈が長めのハート柄トランクスのみ。しかも湯上がり直後ということでその血行の良い肌が若干眩しい。何故かマスクと手袋は付けたままというスタイルは、さらけ出されている肌をより一層引き立たせている。ように見える。気がする。
とにかく、このままでは目に毒だ。
「キャッ、俺ちゃん恥ずかしい!女の子の前で“オマタ”なんて言っちゃって…!」
「それより何か上に着てください…」
「異議あり!」
「!?」
「端末画面の前のお友達だって、肌色多めのデップーが良いに決まってるじゃん。夢主ちゃんも堪能したいっしょ?」
彼は夢主の要望をあっさり却下し、頭の後ろと腰に手を当ててウインクをした。
「あの、デッドプールさん、どうぞ私に構わず!アベンジャーズの皆さんとお話があるんじゃ」
「あーっ知ってる知ってる!平凡夢主ね」
そして自分にしか分かり得ない話を始める。
「え?…へいぼん、ゆ?」
「“ワタシは目立ちたくなーい!イケメンキャラに絡まれるイケイケ☆ライフなんて送りたくなーい!アンタなんかにキョーミなーい!ほっといてぇー!”ってヤツ」
「……?」
夢主だけでなく子供達数人が首をかしげた。その他は「また始まった…」と言わんばかりにため息を吐く。
「あの……別に、貴方を嫌っている訳じゃないから…」
「でも結局さぁ、そういう態度が逆に特殊で新鮮だから、俺ちゃんみたいなモテモテナイスガイに気に入られちゃうんだよね~あるある~」
「……」
まるでこちらの話を聞いていない。夢主はこいつの相手をすることにだんだん嫌気が差してきた。
「ま、そうでもしないとお話が進まないからな~。それにぃ、そーゆー展開に憧れてんだろ?世の乙女は。ちなみに夢主ちゃんは平凡夢主っつーより実は、え?何?」
「え?」
「え?って、俺ちゃんのことが大好きって?ロールシャッハより?」
「ちょちょちょっ!私そんなこと、一言も…」
デッドプールは両手を胸の前で組み、マスクの覗き穴の白い部分を揺るがせながら見つめてきた。
「えっと……」
子犬のように可愛らしい声で鳴かれ、更に裏声で「どうする?」と囁かれる。一体どこからそんな声を出しているのか。
「嫌いじゃねぇって言っただけだろ。ハッキリしろよ」
困り果てた夢主に助け船を出したのは、少し離れたところから様子を見ていたクリスだ。
「こじらせ系男子は黙ってろよー」
「何だよこじらせって」
「ハッキリ言われなくたって、もう全部知ってるもーん夢主ちゃんの頭ん中~」
「い、痛い…」
人差し指でこめかみをぐりぐり圧された後、手を銃の形にして心臓の辺りを撃つ真似をしてきた。反射的に胸を隠す。
「なあなあなあなあ、俺ちゃん何歳に見える~?」
「はい!?えっと、そうですね…」
「マスクしてる奴の歳なんかわかるかよ」
クリスがまたも口を挟む。
「さっきから邪魔すんなっての、思春期ボーイ」
「だっ誰が思春期ボーイだ!?」
「君ちゃんのコト~。で?で?女の子ちゃんの素直な意見は?俺ちゃん、気になります!」
デッドプールの全身を軽く、じっくり眺めると心臓がうるさいので、本当に軽く眺める。
「うーん…」
二十歳くらい、と言っておけば無難だろうか?
「ぶっぶー♪さすがに若すぎるっしょ。んなヒヨッ子にはこの二の腕は作れないって。ほら」
「ひゃ!?」
そう言って彼は夢主の手首を掴み、自分の力こぶに無理矢理這わせた。
「俺ちゃん自慢の筋肉、どうよどうよ?カッチカチだろ?カッチカチ!太股も触ってみる?」
「いい加減にしろ」
「まだ居たの?あんたホログラムでもウルヴァリン並に臭うんだよ、しっしっ」
デッドプールはロールシャッハを追い払うように、掴んだままの夢主の手首をぷらぷらと振った。
「番外編一話挟んだくらいじゃまだまだ臭いは取れてないぜ。っつうか!なぁ~にが“フム、悪くない”だ!アンタそんなキャラじゃないだろ?」
「デッドプールさん!」
筋肉の締まった太股に触れる直前で、ようやく夢主は彼の手を振り払った。
「あのっキャップさんも言ってましたけど、どうしてアベンジャーズの皆さんに会いにいらっしゃったんですか?」
「あー、ああ~……そうだった」
途端に声のトーンが下がっていく。
「子猫ちゃん、いや、子犬ちゃんの催促とあっちゃあ、無視する訳にはいかねぇよな」
子犬を翻弄していた男はソファの裏に一時的に立て掛けられていた装備の内、日本刀を後ろ手で掴んだ。
「伏せてろ!!」
「おわっ!?」
危険を察したロールシャッハが跳び上がり、デッドプールの顔に張り付く。大きな一振りは予定の軌道を外れ、刀身が夢主の鼻先をかすめソファに食い込んだ。
「!?」
「キャーッ、ドブネズミよ~ゴキブリよ~ロールシャッハよ~!不吉且つ不潔ぅ~!誰か取って~ぇ!おい、マジで誰か取れっつってんだろうが!マジで!マジで!!」
デッドプールは脇をしめてこの場に居合わせる誰よりも慌てふためいたフリをした後、今度は気分を害した様子に切り替えて腕を組む。
「ったく、夢主ちゃんはガード堅いし顔面にロールシャッハくらうし。今日は何て日だ!」
「デッ…デッドプールさん…?」
震える夢主に傭兵は地声で答える。
「どうして来たかって?教えてやるよ。バイオコードを持つ子供とその愉快な仲間アベンジャーズを始末しに、さ」
口を止めずに彼はもう一本持参していた刀もゆっくり抜いた。
「始末って言っても、全員ヤっちゃう訳じゃないぜ?確かリミテッドじゃないって聞いてたんだよなー…ひ・と・り・だ・け」
日本刀の切っ先が腰を抜かして動けない夢主に向けられた。
小さいままのキャプテン・アメリカが怒りを込めて言い放つ。
「おのれ、デッドプール!ヴィランに雇われたのか!?」
「まあね。多分アンタらの敵さんだろ。興味無いけど」
「助けてやった恩をもう忘れたか?」
キャプテン程焦ってはいないがアイアンマンもまた彼を咎める。
「えーっ?シャチョサン、まさか俺ちゃんの脳味噌信用してたの~?」
「どうすんだよトニー!デッドプールは不死身なんだろ?」
「そうそう。それにめちゃくちゃ強いんだぜ!今回はテレポートもお披露目しちゃおっかな~」
アキラの問いに本人がノリノリで答える。
「ああ、強いさ。でもやるしかない!」
「ヘイヘイ!お子様方がカッコ良くディスクを叩きつけんのと、俺ちゃんが生首5つ作成すんの、どっちが多く尺割くと思ってんの?」
「さあな。だが、そのお喋りよりは早い!」
リーダーの言う通り、既にアベンジャーズ全員が実体化を済ませていた。
「あちゃー、結局アッセンブルって訳ね。参ったなー、だって1、2、3、4……」
デッドプールはこの場に居るメンバーを丁寧に数えていき、最後に自分の顔にへばりついているロールシャッハを指す。
「13人相手ってどんなプレイよ?」
奇数なのはペッパーも含まれたため。
「ちょっと、私まで数に入ってるの!?」
「どうせヤルなら目指すは全クリよ。ゲームのルールは5分ちょいの耐久バトル。俺様の得意技さ」
傭兵は腰を低くし刀を構え、臨戦態勢に入った。