番外編5:都合の悪い傭兵
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「はぁー……」
眉間を揉む夢主はソファへ完全に体を預けていた。一人用のイスに座ったジェシカは軽いトーンで声をかける。
「大丈夫?」
「なんだかすごく疲れた…」
「何故逃げなかった」
質問と言うより尋問。いつもの調子で小さいロールシャッハは夢主に問いかける。
「何故押し返さなかった。奴は女に甘い。本気で嫌がればすぐに退いた筈だ。いくらお前が」
「わかってないわねぇロールシャッハ」
脚を組み直してジェシカは上から目線で続ける。
「夢主のためにも言いたくないんだけどさ、一目惚れよ。ひ・と・め・ぼ・れ」
「違う!」
「えー?」
「なら何だ」
「……」
夢主は口をつぐんで目線を落とした。
「自分でも、よくわからないんですけど……」
つい先程間近に迫っていた、あの立派な胸板を思い出す。ヒーロースーツの上からでもその分厚さが十分見て取れた。
胸だけではない。太い首、締まりに締まった肩や腕の筋肉、大きな手、極力見ないようにしていた股間までもが脳内で勝手に再現されていく。
「あの体を押すだけでも、触れるだけでも、危険な気がして……触っちゃまずい気がして…」
「デッドプールが怖いってこと?」
彼が以前やらかした蛮行についてはたった今一通り聞かされたため、正直印象は良くない。しかし、今日はここに来てまだ何も悪さをしていないし、夢主をさらった仮面集団のような「根っからの悪党」とはまた違う雰囲気を醸し出していた。
「怖いって感じとは、違うかも」
恐怖は感じない。ただ、彼に対して何らかの感情を抱いていることは確かだ。恐怖よりもっと大きい、何か。
「そうなの…」
「フム…」
勿論、大好きなヒーローに抱いている憧れの気持ちとも違う。彼のことを知りたい、彼の力になりたい、彼に認められたい……とは思わない。憧れよりもっと原始的な、何か。
「ちょーっと失礼!」
何の前触れもなくジェシカが夢主の膝を割って入り、胸に耳を押しつけた。
「…うん、すっごくドキドキしてる」
「それはジェシカちゃんにビックリしたから…!」
「じゃあ、もう収まった?」
ジェシカは夢主から離れ、またイスに腰を下ろした。
「……まだ」
悩みの種がシャワールームに行って十分近く経つが、体も心も一向に落ち着く様子が無い。
「ロールシャッハさん、私を殴ってください。もう、ほんと……どうかしちゃったんです、私…」
どうしてもあの肉体が脳裏から離れてくれない。夢主はとうとう頭を抱え込んだ。
「そんな言葉が出るくらいなら、俺が殴る必要は無い」
ソファに立つロールシャッハは窓の外、どこか遠くを見つめる。絶対に妥協しない男もこれにはお手上げのようだ。
眉間を揉む夢主はソファへ完全に体を預けていた。一人用のイスに座ったジェシカは軽いトーンで声をかける。
「大丈夫?」
「なんだかすごく疲れた…」
「何故逃げなかった」
質問と言うより尋問。いつもの調子で小さいロールシャッハは夢主に問いかける。
「何故押し返さなかった。奴は女に甘い。本気で嫌がればすぐに退いた筈だ。いくらお前が」
「わかってないわねぇロールシャッハ」
脚を組み直してジェシカは上から目線で続ける。
「夢主のためにも言いたくないんだけどさ、一目惚れよ。ひ・と・め・ぼ・れ」
「違う!」
「えー?」
「なら何だ」
「……」
夢主は口をつぐんで目線を落とした。
「自分でも、よくわからないんですけど……」
つい先程間近に迫っていた、あの立派な胸板を思い出す。ヒーロースーツの上からでもその分厚さが十分見て取れた。
胸だけではない。太い首、締まりに締まった肩や腕の筋肉、大きな手、極力見ないようにしていた股間までもが脳内で勝手に再現されていく。
「あの体を押すだけでも、触れるだけでも、危険な気がして……触っちゃまずい気がして…」
「デッドプールが怖いってこと?」
彼が以前やらかした蛮行についてはたった今一通り聞かされたため、正直印象は良くない。しかし、今日はここに来てまだ何も悪さをしていないし、夢主をさらった仮面集団のような「根っからの悪党」とはまた違う雰囲気を醸し出していた。
「怖いって感じとは、違うかも」
恐怖は感じない。ただ、彼に対して何らかの感情を抱いていることは確かだ。恐怖よりもっと大きい、何か。
「そうなの…」
「フム…」
勿論、大好きなヒーローに抱いている憧れの気持ちとも違う。彼のことを知りたい、彼の力になりたい、彼に認められたい……とは思わない。憧れよりもっと原始的な、何か。
「ちょーっと失礼!」
何の前触れもなくジェシカが夢主の膝を割って入り、胸に耳を押しつけた。
「…うん、すっごくドキドキしてる」
「それはジェシカちゃんにビックリしたから…!」
「じゃあ、もう収まった?」
ジェシカは夢主から離れ、またイスに腰を下ろした。
「……まだ」
悩みの種がシャワールームに行って十分近く経つが、体も心も一向に落ち着く様子が無い。
「ロールシャッハさん、私を殴ってください。もう、ほんと……どうかしちゃったんです、私…」
どうしてもあの肉体が脳裏から離れてくれない。夢主はとうとう頭を抱え込んだ。
「そんな言葉が出るくらいなら、俺が殴る必要は無い」
ソファに立つロールシャッハは窓の外、どこか遠くを見つめる。絶対に妥協しない男もこれにはお手上げのようだ。