番外編5:都合の悪い傭兵
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目に入った人物は赤と黒を基調としたヒーロースーツを身につけ、それと同じ素材のマスクで頭まですっぽり隠している。アキラ達との会話に夢中のようだ。
自分も彼に挨拶しようと夢主は数歩近づくが、自然と歩みが止まる。
「……」
ガタイの良い男の背を無言でじっと見つめる。その体格は、ハルクのような大男よりもキャプテン・アメリカに近い。ぴっちり体に張り付くスーツのお陰で立派な筋肉がくっきり浮かび上がって見える。
「ロールシャッハさん」
たった今封印したロールシャッハをホログラムで呼び出した。夢主は眉間に皺を寄せ、少し切羽詰まった声でお願いをする。
「もし私が歯止め利かなくなったら、止めてくれませんか」
「止める?」
「……」
聞き返してきたパートナーには一切目もくれず、彼女は客人に熱い視線を送り続けている。
「……まさかお前」
ロールシャッハが言い終える前に目線の先の男がこちらに気付き、自慢の身体能力を生かして一跳びで夢主の目と鼻の先に着地した。
「よっと」
「ひ!」
彼女は挙動だけは怯えるように距離を取った。
「ハァイ!そーんな離れていないで、君もこのデッドプールにご挨拶しようぜ?」
「あ、あ…!」
後退りする分以上に距離を縮められる。
「ん?」
「いや、その…」
背中に固くて平らな行き止まりの感触。目の前の男は夢主の反応の意味がまだわからず、接近を止めない。
「んんんー?」
「ああああの、あんまり近付き過ぎないで、もらえると…!」
夢主は自分の体が熱いのか冷たいのかも把握できないでいる。とにかく、今は距離を詰められたくなかった。
が、大きな手が伸びてきて頬から耳の裏までを軽く包んだ。
「んぅっ!?」
「お?」
触れられただけにも関わらず、反射的に意もしない声が出てしまった。
暑いのか寒いのかすらわからない。だが、接触された部分に意識が集中していることと、心臓が今までの人生に無いくらい仕事をしていることだけは痛い程わかった。
「はは~ん、ナルホド……こういう反応は久し振りだな」
何かを察したデッドプールはマスクの上からでも十分見て取れる程に口角を上げた。
まだピンと来ていない子供数人はただ立ち尽くす。
「夢主はどうしちゃったんだ?」
「あんなに緊張して…」
「あんた達兄弟には一生わからないわよ」
「カタくなること無いって子猫ちゃ~ん。ほら、こちょこちょこちょ~」
調子に乗ったデッドプールは顎の裏を指先で小刻みに撫でてくる。
「や、いやっ…困ります…!」
追い詰められた夢主は言葉では拒絶するものの、体を震わすだけで抵抗は全くしない。
彼女の肩に乗っているパートナーがやっと動いてくれた。
「止めろとは……そういうことか」
「ん?しっしっ」
デッドプールは小バエでも払い除けるように手をひらひらさせたが、ホログラム姿のロールシャッハに対してその行為は無意味だった。
「あら、そう言えば透けてるんだったか……あら?あらららら!?よく見りゃアンタ、ロールシャッハじゃん!久し振り~!ダンス大会以来だな。ディスクの中はどう?快適?」
「こいつから離れろ」
はるばる訪れてきた客人と会話をするつもりは一切無く、ロールシャッハは吐き捨てるように命令した。
「大切なパートナーちゃんから離れてほしいって?そしたら俺はこう答えてやる。ノー!」
客人のあまりにも勝手な行動にクリスも口を出す。
「ロールシャッハの言う通りだ。夢主が嫌がってんだろ」
「嫌がる~?このコのこの顔のこの表情のどこが嫌がってるって?」
そう言ってこの場に居る全員に見せるように夢主の前から退くが、間髪入れずにまた彼女の顔を体で覆い隠す。
「おーっと、お子様方にはシゲキが強すぎる。ので、やっぱ見せられないよ!」
「デッドプール、お前は何故またここに来た?何か目的があるのだろう?」
話の流れを変えるべく、キャプテン・アメリカが彼に来訪の理由を尋ねた。
「まあまあそう急かさないでよリーダー」
「リーダーは俺だ!」
「俺ちゃん長旅で疲れてんの。ちょいと一息させてくんない?いーでしょ?なー?」
この困った客人はアイアンマンの指摘も無視して壁に寄りかかり、まだ固まっている夢主に同意を強制する。
「え、はっはい!そうですよね!」
「またこいつの世話をしなきゃならんのか…」
ハルクが心底疲れたように呟いた。
自分も彼に挨拶しようと夢主は数歩近づくが、自然と歩みが止まる。
「……」
ガタイの良い男の背を無言でじっと見つめる。その体格は、ハルクのような大男よりもキャプテン・アメリカに近い。ぴっちり体に張り付くスーツのお陰で立派な筋肉がくっきり浮かび上がって見える。
「ロールシャッハさん」
たった今封印したロールシャッハをホログラムで呼び出した。夢主は眉間に皺を寄せ、少し切羽詰まった声でお願いをする。
「もし私が歯止め利かなくなったら、止めてくれませんか」
「止める?」
「……」
聞き返してきたパートナーには一切目もくれず、彼女は客人に熱い視線を送り続けている。
「……まさかお前」
ロールシャッハが言い終える前に目線の先の男がこちらに気付き、自慢の身体能力を生かして一跳びで夢主の目と鼻の先に着地した。
「よっと」
「ひ!」
彼女は挙動だけは怯えるように距離を取った。
「ハァイ!そーんな離れていないで、君もこのデッドプールにご挨拶しようぜ?」
「あ、あ…!」
後退りする分以上に距離を縮められる。
「ん?」
「いや、その…」
背中に固くて平らな行き止まりの感触。目の前の男は夢主の反応の意味がまだわからず、接近を止めない。
「んんんー?」
「ああああの、あんまり近付き過ぎないで、もらえると…!」
夢主は自分の体が熱いのか冷たいのかも把握できないでいる。とにかく、今は距離を詰められたくなかった。
が、大きな手が伸びてきて頬から耳の裏までを軽く包んだ。
「んぅっ!?」
「お?」
触れられただけにも関わらず、反射的に意もしない声が出てしまった。
暑いのか寒いのかすらわからない。だが、接触された部分に意識が集中していることと、心臓が今までの人生に無いくらい仕事をしていることだけは痛い程わかった。
「はは~ん、ナルホド……こういう反応は久し振りだな」
何かを察したデッドプールはマスクの上からでも十分見て取れる程に口角を上げた。
まだピンと来ていない子供数人はただ立ち尽くす。
「夢主はどうしちゃったんだ?」
「あんなに緊張して…」
「あんた達兄弟には一生わからないわよ」
「カタくなること無いって子猫ちゃ~ん。ほら、こちょこちょこちょ~」
調子に乗ったデッドプールは顎の裏を指先で小刻みに撫でてくる。
「や、いやっ…困ります…!」
追い詰められた夢主は言葉では拒絶するものの、体を震わすだけで抵抗は全くしない。
彼女の肩に乗っているパートナーがやっと動いてくれた。
「止めろとは……そういうことか」
「ん?しっしっ」
デッドプールは小バエでも払い除けるように手をひらひらさせたが、ホログラム姿のロールシャッハに対してその行為は無意味だった。
「あら、そう言えば透けてるんだったか……あら?あらららら!?よく見りゃアンタ、ロールシャッハじゃん!久し振り~!ダンス大会以来だな。ディスクの中はどう?快適?」
「こいつから離れろ」
はるばる訪れてきた客人と会話をするつもりは一切無く、ロールシャッハは吐き捨てるように命令した。
「大切なパートナーちゃんから離れてほしいって?そしたら俺はこう答えてやる。ノー!」
客人のあまりにも勝手な行動にクリスも口を出す。
「ロールシャッハの言う通りだ。夢主が嫌がってんだろ」
「嫌がる~?このコのこの顔のこの表情のどこが嫌がってるって?」
そう言ってこの場に居る全員に見せるように夢主の前から退くが、間髪入れずにまた彼女の顔を体で覆い隠す。
「おーっと、お子様方にはシゲキが強すぎる。ので、やっぱ見せられないよ!」
「デッドプール、お前は何故またここに来た?何か目的があるのだろう?」
話の流れを変えるべく、キャプテン・アメリカが彼に来訪の理由を尋ねた。
「まあまあそう急かさないでよリーダー」
「リーダーは俺だ!」
「俺ちゃん長旅で疲れてんの。ちょいと一息させてくんない?いーでしょ?なー?」
この困った客人はアイアンマンの指摘も無視して壁に寄りかかり、まだ固まっている夢主に同意を強制する。
「え、はっはい!そうですよね!」
「またこいつの世話をしなきゃならんのか…」
ハルクが心底疲れたように呟いた。