番外編4:都合の良い挨拶
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「ねえねえ夢主、もうロールシャッハに、アレ、やったの?」
「アレって?」
ブーツを脱いだジェシカはソファの上で足を折り畳み、両手を膝の前についた。
「フツツカモノですが、よろしくおねがいします。って」
「ちょっ!?」
少し離れたところで何やら話し込んでいたホログラムのヒーロー5人には気付かれなかったが、他の子供達にはしっかりと聞かれてしまった。
全員が集うこんなリビングではなく、せめて女子部屋で言ってくれれば良かったものを。
「そんな言葉どこで…!」
ジェシカの口から出てきたことに夢主は驚きを隠せない。
「日本人の中でも、大和撫子が使う挨拶なんでしょ?」
「ふつつか…って?」
「アキラはまだ知らなくても良いよ」
ヒカルがすかさず弟を止めた。
「で?もうしたの?挨拶」
「それは…」
彼との初対面は敵中でのD・スマッシュだったので挨拶どころではなかった。やっと再会できたと思えば問答無用のD・セキュア、後に喧嘩(と言うより一方的に責められた)。
仲直り(こちらが謝罪)してからの2人の関係はまあまあ良好だが、何だかんだできちんとした挨拶は今の今までできていなかった。
「まだ、だけど…」
「じゃあやりましょ!」
「いやっあのっ」
「最初の挨拶はちゃんとしとかなきゃ!」
他意があるのか無いのか、ジェシカは夢主を強く言いくるめようとしてくる。
「ジェシカちゃん、なんか楽しんでない?」
「もっちろん!そんでもって、夢主も楽しむべきよ!」
「私も?」
「貴方達2人には、どうも“オフザケ”が足りないと思うのよね~」
余計なお世話だ。
「だ、か、ら!たまにはロールシャッハをからかってやりましょうよ」
「そんなこと…!」
「挨拶でからかうのか?」
「そんなことよりアキラ、宿題がまだ終わっていないだろう?」
少年は兄に半強制的に連れられてリビングを出た。
「ギャフンと言わせるまではいかないにしても、彼の困った表情もちょっとは見てみたくない?」
「……」
「ロールシャッハの新しい一面、気になるでしょ?」
パートナーとして、ファンとして、夢主も興味が無い訳ではない。むしろ、是非とも拝んでみたい。
標的の男がリビングに戻って来るまでの間に、彼女は好奇心に負けてしまった。
「ロールシャッハさん!」
靴を脱いだ夢主はソファの上で正座し、三つ指を揃えて彼を待ち構えていた。
「ふ…」
「?」
「不束者ですが、どうぞ宜しくお願い致します…!」
勢いよく頭を下げる。
「……」
絶対怒られる絶対怒られる絶対怒られる絶対怒られる絶対怒られる絶対怒られる。
愚かなことに、夢主は言い切ってしまってから後悔した。
彼はただの内気な男ではない。淫らな話題・人間・職業、果ては性に少しでも積極的な女性が大嫌いな男だ。ならばこういった冗談も大嫌いな筈。
できることなら数分前に戻って思い直したい。夢主はうち震える三つ指に額を押しつけたまま返答を待つ。いざとなった時のためのD・セキュアも念頭に置きながら。
「おっ、こんなシーン映画で見たことあるぞ。確か男女がベッ」
「アイアンマン」
ソーが楽しそうな声を遮った。アベンジャーズが周りに集まってきているらしい。
「済まない、日本だから布団だよな。いや座敷か?」
「全く…子供の前よ。で、貴女はもう大人なのかしら?ジェシカ」
「うっ!アッハハハハ……バレてた?」
肝心のロールシャッハからの返答が無い。目の前から微動だにしていないことはわかるが、一体どんな顔をしているのだろうか。頭を上げるのがとても怖い。
そんな夢主の気も知らずに、火に油を注ぐような茶々が容赦なく入れられる。
「良かったなぁロールシャッハ。パートナーからの、積極的な、ご挨拶だぞ?」
「フム、悪くない」
「!?」
「アレって?」
ブーツを脱いだジェシカはソファの上で足を折り畳み、両手を膝の前についた。
「フツツカモノですが、よろしくおねがいします。って」
「ちょっ!?」
少し離れたところで何やら話し込んでいたホログラムのヒーロー5人には気付かれなかったが、他の子供達にはしっかりと聞かれてしまった。
全員が集うこんなリビングではなく、せめて女子部屋で言ってくれれば良かったものを。
「そんな言葉どこで…!」
ジェシカの口から出てきたことに夢主は驚きを隠せない。
「日本人の中でも、大和撫子が使う挨拶なんでしょ?」
「ふつつか…って?」
「アキラはまだ知らなくても良いよ」
ヒカルがすかさず弟を止めた。
「で?もうしたの?挨拶」
「それは…」
彼との初対面は敵中でのD・スマッシュだったので挨拶どころではなかった。やっと再会できたと思えば問答無用のD・セキュア、後に喧嘩(と言うより一方的に責められた)。
仲直り(こちらが謝罪)してからの2人の関係はまあまあ良好だが、何だかんだできちんとした挨拶は今の今までできていなかった。
「まだ、だけど…」
「じゃあやりましょ!」
「いやっあのっ」
「最初の挨拶はちゃんとしとかなきゃ!」
他意があるのか無いのか、ジェシカは夢主を強く言いくるめようとしてくる。
「ジェシカちゃん、なんか楽しんでない?」
「もっちろん!そんでもって、夢主も楽しむべきよ!」
「私も?」
「貴方達2人には、どうも“オフザケ”が足りないと思うのよね~」
余計なお世話だ。
「だ、か、ら!たまにはロールシャッハをからかってやりましょうよ」
「そんなこと…!」
「挨拶でからかうのか?」
「そんなことよりアキラ、宿題がまだ終わっていないだろう?」
少年は兄に半強制的に連れられてリビングを出た。
「ギャフンと言わせるまではいかないにしても、彼の困った表情もちょっとは見てみたくない?」
「……」
「ロールシャッハの新しい一面、気になるでしょ?」
パートナーとして、ファンとして、夢主も興味が無い訳ではない。むしろ、是非とも拝んでみたい。
標的の男がリビングに戻って来るまでの間に、彼女は好奇心に負けてしまった。
「ロールシャッハさん!」
靴を脱いだ夢主はソファの上で正座し、三つ指を揃えて彼を待ち構えていた。
「ふ…」
「?」
「不束者ですが、どうぞ宜しくお願い致します…!」
勢いよく頭を下げる。
「……」
絶対怒られる絶対怒られる絶対怒られる絶対怒られる絶対怒られる絶対怒られる。
愚かなことに、夢主は言い切ってしまってから後悔した。
彼はただの内気な男ではない。淫らな話題・人間・職業、果ては性に少しでも積極的な女性が大嫌いな男だ。ならばこういった冗談も大嫌いな筈。
できることなら数分前に戻って思い直したい。夢主はうち震える三つ指に額を押しつけたまま返答を待つ。いざとなった時のためのD・セキュアも念頭に置きながら。
「おっ、こんなシーン映画で見たことあるぞ。確か男女がベッ」
「アイアンマン」
ソーが楽しそうな声を遮った。アベンジャーズが周りに集まってきているらしい。
「済まない、日本だから布団だよな。いや座敷か?」
「全く…子供の前よ。で、貴女はもう大人なのかしら?ジェシカ」
「うっ!アッハハハハ……バレてた?」
肝心のロールシャッハからの返答が無い。目の前から微動だにしていないことはわかるが、一体どんな顔をしているのだろうか。頭を上げるのがとても怖い。
そんな夢主の気も知らずに、火に油を注ぐような茶々が容赦なく入れられる。
「良かったなぁロールシャッハ。パートナーからの、積極的な、ご挨拶だぞ?」
「フム、悪くない」
「!?」