番外編3:都合の良い説得
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無垢な子供が退場した後も夢主はロールシャッハの逆鱗に触れるべく、無闇に使わないと心に決めていた単語を次々と放ち続けた。
「良いんですか!?貴方のパートナーが、えっと、貴方の毛嫌いする行為を今夜にでも実行するんですよ!アバズレになるんです!ソープだけじゃない、ホストクラブだって行っちゃいます!行きずりの男性と、ラブホも!」
「アキラ達を行かせて正解だったな。しっかし……俺は“行きずりの男性”案なんて出してないぞ?」
「……」
「……」
クリスとジェシカは額に手をやり深いため息を吐く。今はとりあえずアイアンマンに黙っていてほしいと願った。
「あとお酒!タバコ!ありとあらゆる夜遊びを…」
肝心の彼は何の前触れもなく自ら実体化し、夢主の胸ぐらを片手で掴み高く持ち上げた。
「ぐぁっ!?」
まさかプラン夢主によって呼吸ができなくなるとは思っていなかった。手はとりあえず目の前の腕を押さえ、足は宙をかく。無論、ロールシャッハの腕はびくともしない。
ちなみに彼のもう片方の手はその臭いコートのポケットに入れられたままだ。
「わかった。そこまで言うのなら入ろう。服の洗濯も許す」
「ぐっ…ぅ…」
言うことを聞かせたのはこちらの筈。根負けしたのはあちらの筈。しかし彼のこの偉そうな態度は何だ。この立場の差は一体何なのだ。
「但し、そんな忌々しい言葉は二度と口にするな。俺がその場に居なくとも、だ。例外は無い」
「うぅ……ロ」
「無論、実行も禁ずる」
「ロ、ロー、る…っ!」
「良いな」
「…っ…っ!」
声が出せない代わりに動かせる範囲の中で頭を何度も頷かせると、彼は黙ったまま急に服を放した。
「げほっ、ハァ、ハァッ……いっ!?」
仕置きはもう少しだけ続く。
ロールシャッハは立て膝を突いて夢主の頭頂部の髪を掴み、痛みで歪む顔を自分の目線と同じ高さまで上げる。
「ホストクラブはともかく、そんな言葉どこで覚えてきた?」
「そんな、って…?」
ソープやラブホのことだろうか。どこでと聞かれてもこのご時世、名称くらいなら簡単に耳に入ってくるものだが。
「フン。自覚も無いとは」
「ち、違います!私は別に…!」
ロールシャッハが嫌がるような言葉を普段から多用している訳ではないし、実際に関連施設を利用した経験も無い。むしろ彼の思想にならうため、そういったことにはなるべく興味を持たないよう、触れないよう、避けるよう心掛けてきたつもりだ。
だが、こうなってしまえば返す言葉が見つからない。
「…何でもないです」
「どちらにしろ、淫語が簡単に口から出てきたことには何ら変わりない。見損なったぞ。今時の日本のガキも大したものだな」
そう吐き捨てるとロールシャッハは女子部屋から出ていく。
「バスルームはそこのドアよ」
「いってらっしゃ~い」
「……フン」
彼は少しだけ立ち止まって野次馬をひと睨みしたが、素直に脱衣所に入っていった。
「どうだった?」
「夢主の説得は成功した?」
頃合いを見計らってヒカルがアキラとエドを連れて廊下に戻ってくる。
「成功したけど…やっぱり誤解されちゃったわね」
「誤解?」
まだ部屋の真ん中で座り込んでいる夢主の背中からは哀愁が漂い、かなり声を掛け難い雰囲気を醸しだしていた。
こうなることがわかっていたとは言え、この作戦を積極的に推していたワスプは深く反省し目を伏せた。
「問題無い。ロールシャッハが綺麗サッパリした後で、あれは全部俺が吹き込んだことだって言っとくさ。その時はアキラ、俺のディスクが奴に破壊されないようくれぐれも頼む」
「えぇー?何だよそれ!?よくわかんないけど、俺も危ないってことじゃん!」
エドはアキラが羨ましくなくなった。
「おい」
廊下でアベンジャーズと子供達が盛り上がる一方で、落ち込む夢主を振り向かせたのは普段滅多に言葉を交わさないクリスだった。
「大丈夫かよ?」
「うん…」
返ってきた答えはイエスだが、今の夢主はここに初めて来た時以上にへこたれている。
「その……なんだ…あいつも、お前が軽い奴じゃないってことはわかってるだろ。だからいつまでもクヨクヨしてんじゃねぇ」
「うん…」
「こっちまで気が滅入っちまうんだよ」
「うん、ごめん…」
ロールシャッハを風呂に入れるという当初の目的を果たしたため、アキラ達の気が滅入っているようには全然見えないが。
「別にっ、ヴィランとの戦いで足引っ張んなきゃ何も言うこと無ぇけど…」
余計落ち込ませてしまったかと、平静を装うクリスの声が若干うわずる。ぶっきらぼうな彼なりの気遣いに気付いた夢主は少しだけ胸が軽くなった。
「うん、ありがとうね」
側に居るキャプテン・アメリカはパートナーをそっと見守っていたが、まだまだ他人を煽り足りないアイアンマンは次の標的をその青年に定めた。
「ほぉ~?鬼の居ぬ間に点数稼ぎかぁ、やるなぁクリス」
「違ぇし!」
「良いんですか!?貴方のパートナーが、えっと、貴方の毛嫌いする行為を今夜にでも実行するんですよ!アバズレになるんです!ソープだけじゃない、ホストクラブだって行っちゃいます!行きずりの男性と、ラブホも!」
「アキラ達を行かせて正解だったな。しっかし……俺は“行きずりの男性”案なんて出してないぞ?」
「……」
「……」
クリスとジェシカは額に手をやり深いため息を吐く。今はとりあえずアイアンマンに黙っていてほしいと願った。
「あとお酒!タバコ!ありとあらゆる夜遊びを…」
肝心の彼は何の前触れもなく自ら実体化し、夢主の胸ぐらを片手で掴み高く持ち上げた。
「ぐぁっ!?」
まさかプラン夢主によって呼吸ができなくなるとは思っていなかった。手はとりあえず目の前の腕を押さえ、足は宙をかく。無論、ロールシャッハの腕はびくともしない。
ちなみに彼のもう片方の手はその臭いコートのポケットに入れられたままだ。
「わかった。そこまで言うのなら入ろう。服の洗濯も許す」
「ぐっ…ぅ…」
言うことを聞かせたのはこちらの筈。根負けしたのはあちらの筈。しかし彼のこの偉そうな態度は何だ。この立場の差は一体何なのだ。
「但し、そんな忌々しい言葉は二度と口にするな。俺がその場に居なくとも、だ。例外は無い」
「うぅ……ロ」
「無論、実行も禁ずる」
「ロ、ロー、る…っ!」
「良いな」
「…っ…っ!」
声が出せない代わりに動かせる範囲の中で頭を何度も頷かせると、彼は黙ったまま急に服を放した。
「げほっ、ハァ、ハァッ……いっ!?」
仕置きはもう少しだけ続く。
ロールシャッハは立て膝を突いて夢主の頭頂部の髪を掴み、痛みで歪む顔を自分の目線と同じ高さまで上げる。
「ホストクラブはともかく、そんな言葉どこで覚えてきた?」
「そんな、って…?」
ソープやラブホのことだろうか。どこでと聞かれてもこのご時世、名称くらいなら簡単に耳に入ってくるものだが。
「フン。自覚も無いとは」
「ち、違います!私は別に…!」
ロールシャッハが嫌がるような言葉を普段から多用している訳ではないし、実際に関連施設を利用した経験も無い。むしろ彼の思想にならうため、そういったことにはなるべく興味を持たないよう、触れないよう、避けるよう心掛けてきたつもりだ。
だが、こうなってしまえば返す言葉が見つからない。
「…何でもないです」
「どちらにしろ、淫語が簡単に口から出てきたことには何ら変わりない。見損なったぞ。今時の日本のガキも大したものだな」
そう吐き捨てるとロールシャッハは女子部屋から出ていく。
「バスルームはそこのドアよ」
「いってらっしゃ~い」
「……フン」
彼は少しだけ立ち止まって野次馬をひと睨みしたが、素直に脱衣所に入っていった。
「どうだった?」
「夢主の説得は成功した?」
頃合いを見計らってヒカルがアキラとエドを連れて廊下に戻ってくる。
「成功したけど…やっぱり誤解されちゃったわね」
「誤解?」
まだ部屋の真ん中で座り込んでいる夢主の背中からは哀愁が漂い、かなり声を掛け難い雰囲気を醸しだしていた。
こうなることがわかっていたとは言え、この作戦を積極的に推していたワスプは深く反省し目を伏せた。
「問題無い。ロールシャッハが綺麗サッパリした後で、あれは全部俺が吹き込んだことだって言っとくさ。その時はアキラ、俺のディスクが奴に破壊されないようくれぐれも頼む」
「えぇー?何だよそれ!?よくわかんないけど、俺も危ないってことじゃん!」
エドはアキラが羨ましくなくなった。
「おい」
廊下でアベンジャーズと子供達が盛り上がる一方で、落ち込む夢主を振り向かせたのは普段滅多に言葉を交わさないクリスだった。
「大丈夫かよ?」
「うん…」
返ってきた答えはイエスだが、今の夢主はここに初めて来た時以上にへこたれている。
「その……なんだ…あいつも、お前が軽い奴じゃないってことはわかってるだろ。だからいつまでもクヨクヨしてんじゃねぇ」
「うん…」
「こっちまで気が滅入っちまうんだよ」
「うん、ごめん…」
ロールシャッハを風呂に入れるという当初の目的を果たしたため、アキラ達の気が滅入っているようには全然見えないが。
「別にっ、ヴィランとの戦いで足引っ張んなきゃ何も言うこと無ぇけど…」
余計落ち込ませてしまったかと、平静を装うクリスの声が若干うわずる。ぶっきらぼうな彼なりの気遣いに気付いた夢主は少しだけ胸が軽くなった。
「うん、ありがとうね」
側に居るキャプテン・アメリカはパートナーをそっと見守っていたが、まだまだ他人を煽り足りないアイアンマンは次の標的をその青年に定めた。
「ほぉ~?鬼の居ぬ間に点数稼ぎかぁ、やるなぁクリス」
「違ぇし!」