部屋に戻った夢主は、そのままにしておいた青いディスクをベッドから拾い上げ、いつものように腕に装着する。

「ロールシャッハさん」

相変わらず反応は無い。

「どうしても言うことを聞いてくれないのなら、私に考えがあります」

腹をくくり、夢主は息を吸った。

「私！貴方がお風呂に入ってくれないなら！私がお風呂に入ってきます！」

お前は一体何を言っているんだ？

ディスクに引き篭もっている男は特にこれといった応答はしないものの、彼女の話題に関心を寄せた。

「ここのお風呂じゃないですよ！お店のお風呂です！いか、い、いかがわしいお店のお風呂ですからね！？」

出入り口から様子を覗いていた子供の内、特にクリスとジェシカが顔色を変えた。

「あいつに何言わせてんだ！？」
「これぞプラン夢主。この手の話に奴が反応しない訳が無い」
「あんまり使いたくないやり方だったけどねぇ」
「だがこれは実力行使以上の効果を発揮するぞ～」
「フフフ…バスルームはもうすぐそこよ、ロールシャッハ…」

アイアンマンとワスプは正義のヒーローらしからぬ笑みを浮かべる。アキラ以外の子供達は大人というものが少し怖くなった。

「夢主が風呂に入ると解決すんの？２人で温泉にでも行くのか？」
「ヒカル、アキラとエドをお願い」

最年長のヒカルが苦笑しながら幼い２人の背を押し、もと居たリビングへ連れていく。

「温泉もたまには良いよな！」
「ロールシャッハの反応する話題……僕、なんとなくわかっちゃったよ…」

げんなりするエドはアキラのヒーロー知識の無さ、否、彼本来の鈍感さが少し羨ましくなった。