番外編3:都合の良い説得
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自室に戻った夢主はベッドに腰を掛け、まずはロールシャッハのホログラムアバターを出させようとディスクを操作する。
「ロールシャッハさん」
名前を呼んでも反応は無し。
「聞こえていますよね?」
彼はどういう訳か、封印されている間もディスクの周りの様子全てを把握することができる。アキラ達と敵対する仮面集団のリーダー格が余計なことをしたために備わった力だが、そのお陰でこうして姿を見せずにこの子供の話を聞くことだって可能だ。
「お願いです。お風呂に入ってください。ついでに服も洗濯させてください。無理を承知で、でも、それでもお願いなんです」
今みたいに彼を収納してしまえば瞬時解決なのだが、数時間前に行われた子供会議にてこの方法に反対したのは他でもない夢主だった。
自分の体力が続く限り、なるべくロールシャッハを実体化させてやりたい。なるべく自由に過ごさせてやりたい。実際、2人の間でそういう約束がされていた。
夢主の熱心な申し立てにより、まずは彼を説得することから始め、最終手段としてD・セキュアする作戦に決定した。
既にディスクに収めてしまってはいるが、夢主はまだ諦めていない。
「……ロールシャッハさんと違って、アベンジャーズの皆さんはディー・スマッシュしていられる時間は限られています。一度使ったら、次に実体化できるのは6時間後だそうです」
声は彼に届いてはいるので、手首に向かって説得を続ける。
「そんな皆さんが、ディー・スマッシュしてでも貴方に思い直してほしがっているんです」
ここまで言っても反応無し。
もし風呂に入ってくれたら何かご褒美を…と、ありふれた案が浮かんだが、彼は見返りがあれば動くような男ではない。
悪を叩きのめすため、ついでに善良な市民を悪の手から救うために行動するヒーローだ。
「……どうしてロールシャッハさんがここに留まってくれているのかは、わかっています」
バイオコードを無理矢理体に組み込まれ、偶然パートナーとなった子供を守るためだ。ディスクから完全に解放される、その時まで。
言い方を変えれば、夢主はロールシャッハを束縛し、日本に残るよう強いている存在なのだ。今だって彼は、子供の一存により小さな装置の中に拘束されてしまっている。
そしてその子供は「風呂に入れ」という更なる要求を押しつけている。
「自分がこんなこと言える立場じゃないのはわかっています!でも…でも…」
彼女は必死に話しかけながら、薄々感じている嫌な予感をはね除けられないでいた。
彼はそう易々と妥協するような男ではない。とうに聞く耳なんか持っていないのかもしれない。
「お願い…」
心が折れかけたその時、求め続けていたホログラムが現れた。
「お前の気持ちはよくわかった」
「ロールシャッハさん…!」
やっとだ。やっとこの思いが彼に通じた。
これでこそパートナーというものだ。夢主の鼻頭が熱くなる。
「承知の上で、だ」
「はいっ!」
「断る」
「へ」
そしてパートナーは消えた。
「……ちょ、ちょっと…!お願いですから!」
彼の意志は随分と固い。最早泣き落としでは効果が望めないようだ。
こうなったらアベンジャーズの言っていた通り、実力行使しか。
ここから引きずり出し、無理矢理にでも風呂に入れさせよう。罪悪感もひとしおに夢主はディスクを地面に叩きつけた。
「もう!ロールシャッハさん!!ディー・スマッシュ!」
が、これにも反応を示さない。
「え…?」
以前から操作せずともホログラムが勝手に出たりたり引っ込んだり、溝が黒く染まっていたりと、他のディスクと様子が違う節はいくつかあった。が、今回のは訳が違う。
「う、うそ…」
ディスク所有者のD・スマッシュが効かないなんて、天才物理学者からは勿論、スマートブレインの口からも聞いていない。
「あの……ロールシャッハさん…?」
中身の人物は完全に夢主に刃向かっている。
非常にまずい状況だ。装置から出てこなくなったため、彼を風呂に入れることすら出来なくなってしまった。
「ロールシャッハさん、ごめんなさい!謝りますから!私が悪かったです!」
ドアが開かれた音に気付いていないのか、夢主はディスクに向かい土下座を続ける。
「ほら、やっぱり上手くいかなかった…」
「エド、お前すげぇな…」
「ロールシャッハは絶対に妥協しない男だからね」
「私が間違っていました!この通りです!」
「ロールシャッハさん」
名前を呼んでも反応は無し。
「聞こえていますよね?」
彼はどういう訳か、封印されている間もディスクの周りの様子全てを把握することができる。アキラ達と敵対する仮面集団のリーダー格が余計なことをしたために備わった力だが、そのお陰でこうして姿を見せずにこの子供の話を聞くことだって可能だ。
「お願いです。お風呂に入ってください。ついでに服も洗濯させてください。無理を承知で、でも、それでもお願いなんです」
今みたいに彼を収納してしまえば瞬時解決なのだが、数時間前に行われた子供会議にてこの方法に反対したのは他でもない夢主だった。
自分の体力が続く限り、なるべくロールシャッハを実体化させてやりたい。なるべく自由に過ごさせてやりたい。実際、2人の間でそういう約束がされていた。
夢主の熱心な申し立てにより、まずは彼を説得することから始め、最終手段としてD・セキュアする作戦に決定した。
既にディスクに収めてしまってはいるが、夢主はまだ諦めていない。
「……ロールシャッハさんと違って、アベンジャーズの皆さんはディー・スマッシュしていられる時間は限られています。一度使ったら、次に実体化できるのは6時間後だそうです」
声は彼に届いてはいるので、手首に向かって説得を続ける。
「そんな皆さんが、ディー・スマッシュしてでも貴方に思い直してほしがっているんです」
ここまで言っても反応無し。
もし風呂に入ってくれたら何かご褒美を…と、ありふれた案が浮かんだが、彼は見返りがあれば動くような男ではない。
悪を叩きのめすため、ついでに善良な市民を悪の手から救うために行動するヒーローだ。
「……どうしてロールシャッハさんがここに留まってくれているのかは、わかっています」
バイオコードを無理矢理体に組み込まれ、偶然パートナーとなった子供を守るためだ。ディスクから完全に解放される、その時まで。
言い方を変えれば、夢主はロールシャッハを束縛し、日本に残るよう強いている存在なのだ。今だって彼は、子供の一存により小さな装置の中に拘束されてしまっている。
そしてその子供は「風呂に入れ」という更なる要求を押しつけている。
「自分がこんなこと言える立場じゃないのはわかっています!でも…でも…」
彼女は必死に話しかけながら、薄々感じている嫌な予感をはね除けられないでいた。
彼はそう易々と妥協するような男ではない。とうに聞く耳なんか持っていないのかもしれない。
「お願い…」
心が折れかけたその時、求め続けていたホログラムが現れた。
「お前の気持ちはよくわかった」
「ロールシャッハさん…!」
やっとだ。やっとこの思いが彼に通じた。
これでこそパートナーというものだ。夢主の鼻頭が熱くなる。
「承知の上で、だ」
「はいっ!」
「断る」
「へ」
そしてパートナーは消えた。
「……ちょ、ちょっと…!お願いですから!」
彼の意志は随分と固い。最早泣き落としでは効果が望めないようだ。
こうなったらアベンジャーズの言っていた通り、実力行使しか。
ここから引きずり出し、無理矢理にでも風呂に入れさせよう。罪悪感もひとしおに夢主はディスクを地面に叩きつけた。
「もう!ロールシャッハさん!!ディー・スマッシュ!」
が、これにも反応を示さない。
「え…?」
以前から操作せずともホログラムが勝手に出たりたり引っ込んだり、溝が黒く染まっていたりと、他のディスクと様子が違う節はいくつかあった。が、今回のは訳が違う。
「う、うそ…」
ディスク所有者のD・スマッシュが効かないなんて、天才物理学者からは勿論、スマートブレインの口からも聞いていない。
「あの……ロールシャッハさん…?」
中身の人物は完全に夢主に刃向かっている。
非常にまずい状況だ。装置から出てこなくなったため、彼を風呂に入れることすら出来なくなってしまった。
「ロールシャッハさん、ごめんなさい!謝りますから!私が悪かったです!」
ドアが開かれた音に気付いていないのか、夢主はディスクに向かい土下座を続ける。
「ほら、やっぱり上手くいかなかった…」
「エド、お前すげぇな…」
「ロールシャッハは絶対に妥協しない男だからね」
「私が間違っていました!この通りです!」